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女川2号機再稼働 差し止め求め、石巻市民が提訴 避難計画の実効性判断を

再稼働差し止めを求めて提訴し、記者会見する原告団の原代表(右)

 東北電力女川原発2号機(女川町、石巻市)の再稼働を巡り、原発30キロ圏内の石巻市民17人が28日、重大事故を想定した県と石巻市の広域避難計画が実効性を欠くとして、東北電に再稼働の差し止めを求める訴えを仙台地裁に起こした。

 訴状では避難計画に実効性がない理由として「交通渋滞で30キロ圏を脱出できない」「避難に使うバスの確保や手配が困難」など9点を挙げ、再稼働は住民の生命や身体を害する危険があると主張した。

 原告らは避難計画の不備を理由に2019年11月、再稼働の事実上の前提となる地元同意の差し止めを求める仮処分を仙台地裁に申請。地裁は20年7月に申し立てを却下、仙台高裁は同10月に即時抗告を棄却した。

 原告団は仙台市内で記者会見した。弁護団の小野寺信一弁護士は、仮処分の審理が避難計画の実効性に踏み込まなかったことに触れ、「第三者の審査を受けずに再稼働するのは極めて危ない。裁判所の判断が重要だ」と訴えた。

 水戸地裁は3月、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の避難計画や防災体制の不備を理由に運転を差し止める初の司法判断を示した。

 原告団の原伸雄代表(79)は「極めて重要な判断。勇気づけられた。住民の命と暮らしを守る判決を得たい」と語った。

 東北電は取材に対し「訴状が届き次第、適切に対処したい」と答えた。

 広域避難計画は東京電力福島第1原発事故を受けて国が策定を義務付けた。女川原発周辺の7市町は17年3月までに計画を作成。内閣府や県などでつくる女川地域原子力防災会議が取りまとめ、政府の原子力防災会議が20年6月、了承した。

 女川原発2号機は20年2月、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査に合格。県と石巻市、女川町は同11月、再稼働に同意した。東北電は安全対策工事を終える22年度以降の再稼働を目指す。

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