デスク日誌(6/5):下町の東北

 散歩がてら、よく足を運ぶ東京・浅草かいわいは今、新型コロナウイルスの流行に伴う緊急事態宣言下で閑散としている。巨大ちょうちんがぶら下がる雷門をくぐり、浅草寺の表参道を歩く。両側に朱塗りの店舗が並ぶ仲見世はシャッターを下ろし、外国人観光客の姿もほとんどない。
 静かな境内をじっくり巡ると、さまざまな「東北」を見つけることができる。小舟町のちょうちんがある宝蔵門右手のうん形の仁王尊像は、彫刻家の村岡久作が制作した。氏の出身地という縁から、村山市の奉賛会が奉納した大わらじ(長さ4・5メートル、幅1・5メートル、重さ500キロ)が門裏側の両脇に掲げられている。
 本堂に向かって左手には福島県会津地方に生まれ、日本の社会福祉の礎を築いた瓜生岩子像が立つ。正座し、りりしい姿が印象的だ。岩子の功績をたたえ、実業家の渋沢栄一らの助力で建立された。
 秋口に境内で開かれる菊花展には、二本松市の千輪咲きの鉢が飾られる。隠れた東北はまだまだあるに違いない。新たな発見を楽しみにしつつ、一日も早くにぎわいが戻ってほしいと願わずにはいられない。(東京支社編集部長 末永秀明)

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