宮城人気「追い風」に 石巻市、移住者受け入れ本腰 住宅購入・修繕で補助金
新型コロナウイルスの影響で地方移住に注目が集まる中、移住希望先として宮城県の人気が高まっていることを追い風に、石巻市が「大きなチャンス」と捉え、移住施策や関係人口の構築に力を入れ始めた。
NPO法人「ふるさと回帰支援センター」(東京)の2020年の窓口相談者が選んだ都道府県別移住希望地ランキングで、宮城は5位と、前年の17位から大きく順位を上げた。コロナ下で大都市仙台が首都圏から近く、就職先が多いことへの期待が一気に順位を押し上げた。
石巻市は、希望者がいったん仙台に住んでから、石巻に移る「2段階移住」も視野に入れながら、若者や子育て世代を中心に移り住んでもらう施策の展開に注力する。
移住し家を購入・修繕した世帯に補助金を交付する制度を創設し、6月補正で2500万円を予算化した。購入の場合、1世帯に最大150万円を交付する。中学生までを対象とする子ども医療費無償化は来年度、高校生に拡大する方針。
首都圏から県内に移住し、県の登録企業に就職した場合、移住先の自治体が支給する移住支援金100万円の要件が本年度拡充され、移住元の業務をテレワークで行う人や、移住先の自治体が関係人口と認めた人も加わった。
石巻市の関係人口の該当者は(1)過去2年以上、「ふるさと納税」で寄付(2)過去に居住(3)東日本大震災以降、石巻でボランティア活動をした-など。コロナ下で市への移住支援金の照会が増えているという。
市は移住の足掛かりになるとして関係人口の構築を進める。返礼品を贈るふるさと納税を増やすことで、寄付者と石巻とのつながりができ、地場産品の普及啓発にもつながる二重の効果を期待する。震災後、ボランティア活動をした人にアプローチし、最大被災地と関わり続ける人を増やしていく。
市復興政策部の担当者は「石巻は田舎に街、豊かな自然があり、理想のライフスタイルが見つかる場所とアピールし、地元企業の魅力も発信していく」と意気込む。