しょくば拝見>特殊伐採 フリーリーズ(東松島市牛網)
<心を込めて高所で作業>
木に登ってロープで釣り下ろしながら切る「特殊伐採」を専門とする。倒す空間がない、木の下に家や道路がある、枝の間に電線が通るなど、地上での伐採が難しい現場に対応する。
命綱を着けて高所に登り、チェーンソーで切る。ロープに刃が触れたり、切った木の向きを誤ったりすれば、すぐさま命に関わる。枝を切る順序を誤れば足場を失う。代表社員の神吉雄吾さん(53)は「常に命懸け。先々の手まで考える」と語る。
東松島市を中心に県内全域に出向く。先祖が防風や燃料調達のために植えた居久根も生活環境が変わり、管理に苦慮する家庭が増えた。樹齢200年超のモミやスギ、ご神木も扱った。
「木の命と向き合う仕事。一本一本心を込めて切らせてもらう」と神吉さん。切らざるを得ない依頼主の無念さを受け止め、思い出話などを聞いて心を交わす。伐採後も建材やまきとしての活用に配慮する。
埼玉県で児童養護施設の支援活動をしていた神吉さんと妻恵子さん(48)は、東日本大震災直後から東松島市に入り、復興支援に従事。地域おこし協力隊の隊員として2016年8月、2人で移り住んだ。復旧作業で身に付けた重機の技術を生かして伐採をなりわいとし、特殊伐採を専門として3年を迎える。
昨年夏から協力隊員の佐藤大介さん(39)が独立を目指して研修中だ。「私もまだまだ学びの日々」と神吉さん。一本一本の命と向き合い、志を共にする次世代を育て続ける。
■会社概要
2013年10月、合同会社として創業。震災で立ち枯れた木の伐採などから始め、18年から特殊伐採を専門とする。資本金は50万円。地域おこし協力隊員を含め3人。東松島市野蒜ケ丘の「復興の森」の保全にも携わる。東松島市牛網上四十八27(旧牛網保育所)。0225(98)5453。