「東条英機の資料あった」 石巻の佐々木さん、散骨記事を読み探す
石巻市北村の自宅に私設の「平和資料館」がある元高校教諭佐々木慶一郎さん(74)が、東条英機元首相(1884~1948年)の陸軍大臣時代の額縁に納まった名刺と、仲間らしき人物と一緒に並んでいる写真を見つけた。約20年前に、県内の陸上自衛隊に勤めていた男性自衛官から寄贈されたという。佐々木さんは「太平洋戦争開戦から80年の節目の年。貴重な資料になる」と話している。
写真は東条陸軍大臣を囲む14人。国民服姿の4人に背広姿の9人と一緒に軍服姿の東条がいる。佐々木さんは「若い2人以外は同年齢か。背景は兵舎、もしくは校舎かと思う」と語る。「東条は軍服姿とはいえ、軍刀も軍帽も身に着けていないリラックスした姿で珍しい。身近な知人、同級生との集合写真かもしれない」と説明する。
撮影時期については「東条内閣が成立したのは1941年10月。陸軍大臣の名刺から40年の第2次近衛文麿内閣、41年の第3次近衛内閣時代の頃ではないか」と推測する。
「額縁に納まった名刺と写真は、1999年11月ごろ、資料館をたびたび訪れていた40代ぐらいの田口さんという方がプレゼントしてくれた」と振り返る。「名刺を置いて帰った記憶があるが、紛失したため、下の名前や連絡先も分からない。もし、記事を見たなら連絡してほしい」と呼び掛けている。
今回見つけたのは、6月7日付の河北新報に掲載された「A級戦犯 太平洋に散骨 公文書で判明」の記事を読んだのがきっかけ。東条に関する資料があったはずだと探したという。
東条に関する資料は他にもある。県内の古美術商から購入した「生きて虜(りょ)囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿(なか)れ」といった有名な戦陣訓や、顔写真入りの掛け軸など十数点を保管している。
資料館には幕末から終戦までの資料が4000点以上あり、段ボールに保管している物が多い。「開戦から80年。今後見つけ出したい」と話している。