衆院小選挙区再編へ 「宮城1減」に危機感 石巻地方含む5区関係者
2020年国勢調査の速報値が公表され、「アダムズ方式」を適用した結果、衆院小選挙区は15都県で「10増10減」となり、宮城は1減となる。導入は22年以降、次々回以降の選挙から適用される見通しだ。宮城は4~6区を二つの区割りに再編するとみられ、5区の政界関係者は「石巻地方が中心となる選挙区が消える。衝撃的だ」と深刻に受け止めている。
「1票の格差」是正に向けた大改革で、定数減は人口減少県が大半。同じ1減となる福島と宮城は東日本大震災の被災地だ。新たな議席配分方法「アダムズ方式」は人口比を正確に反映しやすく、16年成立の衆院選挙制度改革関連法で導入が決まった。
立憲民主党の安住淳国対委員長(宮城5区)は、1票の格差是正は重要としつつも「震災の津波災害で人口が減った地域の事情を考慮せず、地元としても納得できない」と指摘する。
石巻地方を大票田とする宮城5区は、同4区、6区と共に再編対象になるとみられ、同地方を主地盤とする候補者にとっては厳しい選挙が必至となる。旧宮城2区時代を含め、同地方を「地元」とする国会議員がいなくなる可能性もある。
安住氏は「次々回以降、この地域から国会議員を出せるのか瀬戸際だ。自民党現職がいる4区、あるいは6区と再編された場合、人口が不足する石巻地方が一つにまとまって対抗しないと厳しい」と危機感を強める。
アダムズ方式の適用で小選挙区定数は東京5増のほか神奈川で2、埼玉、千葉、愛知で各1増。宮城、福島をはじめ新潟、滋賀、和歌山、岡山、広島、山口、愛媛、長崎は各1減となる。
衆院選挙区画定審議会(区割り審)は速報値公表を受け、衆院小選挙区の区割り見直しに関する初会合を2日に開催した。各都道府県知事に意見を照会した上で、来年6月までに改定案をまとめ首相に勧告する。政府は、新たな区割りを反映した公選法改正案に関し、来年の通常国会での提出、成立を視野に入れる。