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女川原発 硫化水素事故、立ち入り調査 県と地元2市町

調査概要を説明する伊藤課長(中央)

 東北電力女川原発(女川町、石巻市)で作業員7人が硫化水素を吸い込む事故が発生したことを受け、県と女川町、石巻市は15日、東北電との原子力安全協定に基づく立ち入り調査を実施した。地震の影響で3号機の原子炉建屋の足場から部材が落下した点についても、対応状況を確認した。

 県原子力安全対策課の伊藤健治課長ら10人が、書面調査後に現場を見て回った。硫化水素が漏れ出たとみられる作業の手順や流出経路、現場の状況や対応策などを確かめた。

 女川原発では12日、2号機制御建屋にいた協力企業の作業員7人がめまいや吐き気などを訴え、石巻市内の病院に搬送された。経過観察のため2人が入院し、15日までに退院した。

 東北電によると、隣接する1号機の廃棄物処理建屋では、作業服の洗濯廃液を貯留するタンクに空気を注入し、硫化水素の発生を抑制する作業をしていた。配水管を通じて2号機制御建屋に流れ込んだ可能性があるが、作業は通常の手順で行われており、詳細な原因は分かっていないという。

 3号機原子炉建屋では2、3、5月の地震で点検用足場のボルト計20本などが脱落、一部が使用済み核燃料プールや床に落下した。足場は解体撤去が進んでいる。

 伊藤課長は調査後、「人的被害が起きたことは看過できない。原因究明と再発防止、安全管理を徹底してほしい」と話した。

 女川原発の若林利明所長は「県民、地域の皆さんに心配をおかけして申し訳ない。労働基準監督署の調査に基づき、再発防止策を打っていきたい」と述べた。

 調査には原発30キロ圏内の東松島、登米の両市と美里町も同行した。

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