石巻の演劇団体、野田秀樹原作「赤鬼」に挑戦 23日から・仙台
石巻の演劇人たちが、日本の演劇界をけん引する野田秀樹(劇作家・演出家)の代表作「赤鬼」に挑む。県内演劇の中心地・仙台市で23~25の3日間、上演する。野田作品が取り上げられること自体、県内では珍しく、石巻の演劇人たちによる果敢な挑戦が演劇ファンの関心を集めている。
野田原作の「赤鬼」は、離島を舞台に浜に打ち上げられた男女3人と、そこに現れた赤鬼を中心にした物語。異質なものに対する偏見や差別が見え隠れする舞台は1996年の初演以来、人気が高く、海外でも上演されてきた。
この名作に挑むのが石巻市を拠点にするエンターテインメント団体「Tie Tone(タイトーン)」。代表のよしだめぐみさん(24)は東京都出身。昨年5月、同市に移住した。新型コロナウイルス禍と向き合いながらパフォーマンスアーティストとして、東日本大震災後に始まった石巻の「芝居の面白い街づくり」に関わってきた。
「赤鬼」を演出するよしださんは「野田さんを追いかけて(野田さんが講師をしていた)多摩美大に入った。私自身、石巻に来たころ違和感、疎外感を抱いたことがあり、ずっと『赤鬼』をやりたかった。野田作品をベースに、どこまで自由にできるかチャレンジしたい」と話す。
赤鬼を演じるのは同市出身で、コマイぬの芝原弘さん(39)=仙台市=。「いつ立場が逆転して自分が赤鬼になり、差別される側になるか分からない。そんな不条理観を出したい」と語り、役づくりに励む。
浜に打ち上げられた女役の大橋奈央さん(26)は地元の俳優で、タイトーンのメンバーでもある。「石巻から仙台に最初に持っていくのが野田作品。インパクトがある。石巻の演劇の力を見せたい」と張り切る。
稽古ではスピーディーなセリフ回しと、走り回るようなノンストップの演技を繰り返していた。よしだ版「赤鬼」が宮城の演劇界に新しい風を起こす。秋の第5回いしのまき演劇祭への参加も予定している。
仙台公演はせんだい演劇工房10-BOX。チケットは一般5000円(前売り4500円)、25歳以下が3000円、高校生以下1000円。メール予約はinfo@tie-tone.com
連絡先はofficial@tie-tone.com