宮城水産高に海図寄贈 明治時代のレプリカなど 第2管区海保
第2管区海上保安本部(塩釜市)の岡本顕海洋情報部長らが13日、宮城水産高(生徒307人)を訪れ、明治時代に日本が初めて単独で製作した海図「陸中國(りくちゅうのくに)釜石港之図」のレプリカなど13点を贈呈した。
今年は1871(明治4)年に、海洋調査から海図作製までを一貫して行う近代的水路業務を開始して150周年を迎えることから記念事業の一環として企画した。学校側は「大変貴重な資料になる。有効に活用させてもらいたい」と感謝した。
贈呈式では岡本部長と、石巻海上保安署の伊藤康彦署長から図書委員会の後藤聖也委員長(3年)と千田海斗副委員長(2年)に海図が手渡された。
テーブルに広げられた「陸中國釜石港之図」を前に岡本部長と、同校の瀧田雅樹校長が「現在の海図と重ね合わせても、ほとんど変わらない」「人工衛星を使用するのではなく測量で作った」などと解説。図書委員会に所属する4人の生徒に当時の技術力の高さを伝えた。
明治政府は1871年、海図作製を始めるに当たり、兵部省海軍部内に初めて水路局を設けた。勝海舟らとともに海軍伝習所でオランダ式の航海術・測量術を学んだ津の藩士柳楢悦を起用して近代的水路業務を開始。翌72年に「陸中國釜石港之図」を完成させた。
後藤委員長は「海図を本格的に見たのは初めて。こんなに立派なものとは思わなかった」と感想を話した。
県内の教育機関に旧版海図が贈呈されるのは初めて。岡本部長は「少しでも海図を身近に感じ、海に関する知識や理解を深めてもらえれば」と今後に期待を寄せた。
同本部海洋情報部の西村一星監理課長は特殊メガネでのぞき込むと、海底の起伏などが分かる「日本周辺3D海底地形図」を紹介。千田副委員長は「普通の地図とは違い、立体的で、とてもリアル」と驚いた。