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五輪・田中投手にエール 震災時「勇気もらった」 東松島出身、東北学院大・石川さん

田中投手がサインしたグラブを持つ石川さん=20日、東北学院大
田中投手と記念撮影をした石川さん(左)=2011年4月、東松島市大曲小

 東京五輪の野球が28日に福島県営あづま球場で始まる。今季、東北楽天に復帰し、日本代表入りした田中将大投手らに期待が集まる。東松島市出身で、東北学院大1年の石川岳人さん(18)=仙台市在住=も金メダルを願う一人。「楽天が日本一になった時のように、もう一度、東北、そして日本を盛り上げてほしい」と、野球を続けるきっかけをくれた田中投手にエールを送る。

 石川さんは幼い頃から、祖父母の家で米大リーグの中継を見たり、近所の上級生とキャッチボールをしたりして野球に興味を持った。東松島市大曲小に入学後は、市内で開かれる野球教室に参加。同校2年の時に東日本大震災に遭った。

 家族は無事だったが、同級生を亡くし、自宅も大きな被害を受けた。2階での生活を余儀なくされるなど、つらい思いをしている時に古里を訪れたのが、楽天の田中投手や嶋基宏捕手(現ヤクルト)らだった。

 「体が大きくてかっこよかった。言葉が出ないほどうれしかった」と石川さん。選手と写真を撮り、田中投手にはグラブにサインをしてもらった。「頑張れよと励ましてくれたことが力になった」と振り返る。

 生活が落ち着いた小学4年生から本格的に野球に取り組み、矢本二中、石巻西高を経て、現在は東北学院大の硬式野球部に所属。田中投手のマウンドさばきやピンチの場面でも気迫で抑える姿を参考に腕を磨き、1年生ながら春季リーグ戦でデビューを果たした。

 震災から10年が過ぎた年に、憧れの存在が地元球団に復帰。新型コロナウイルスの影響で延期された五輪開催も重なったことに巡り合わせを感じている。「本人の調子は良くないかもしれない。それでも、いざという時に力を発揮してくれるはずだ」と期待する。

 将来は田中投手と同じプロ野球の舞台を目指す。「マー君のように人に勇気と希望を与える存在になりたい。メダルを取って東松島に来てくれたら、これまでの感謝を伝えたい」

 大会中は、テレビの前で声援を送るつもりだ。

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