ホヤ水揚げ最盛期 身の締まり良く甘く 石巻の各浜、大忙し
石巻市の特産品、ホヤの水揚げが各浜でピークを迎えている。今年は例年よりやや小ぶりだが、身の締まりが良く、甘みのあるホヤが市場に出ている。
同市谷川浜の渥美貴幸さん(38)は、シーズンが始まった5月から連日、船を出し、水揚げ作業に当たった。現在は、漁港近くの加工場で、むき身の出荷準備を進めている。
ホヤは、甘み・酸味・苦味・うまみ・塩味の五つを感じられる他の食べ物にはない特長がある。昨年、県内の複数海域で発生したまひ性貝毒による出荷規制の影響で、通常の3、4年物だけでなく、大ぶりの5年物も流通しているという。
ホヤ養殖は東日本大震災の被害から復活し、昨年の県内生産量は4400トンと全国一を誇る。しかし、韓国が東京電力福島第1原発事故の影響を理由に2013年9月から禁輸措置を継続しているため、販路の7割が失われたままだ。
渥美さんは理事を務める一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンやホヤ愛好者でつくる一般社団法人「ほやほや学会」(石巻市)と、独特の生臭さの少ないホヤの生産に取り組んだり、飲食店と新たな食べ方を考えたりと、国内消費拡大へアイデアを巡らせる。
ホヤの旬は8月中旬ごろまで。「国内の販路開拓と消費拡大は簡単ではない。宮城のソウルフードとして、県民にもっと消費してもらうことが浜の復興につながる」と力を込めた。