社説(8/7):コロナ追加経済対策/即効性を最も重視すべきだ

 日々の生活に困窮する人と、なりわいの継続に四苦八苦している事業者の救いとなるのか。

 新型コロナウイルス流行の長期化に伴い、政府が検討に入った経済対策は即効性が最も問われよう。

 与党は30兆円規模の対策を要求している。秋に予定される衆院選を見越し、巨額の予算で有権者にアピールしたい狙いが見て取れるが、注目すべきは金額の多寡ではなく中身だ。コロナ禍にあえぐ人たちに、その場しのぎに終わらない支援を届けることが何より重要だ。

 対策には、政府が成長戦略で掲げた「先端半導体の研究開発基金の創設」といったコロナと関連のない事業も組み込む方向で検討しているという。

 1月に成立した2020年度の第3次補正予算も、コロナ禍と直接関係のない「脱炭素に向けた研究開発基金創設費用」名目で2兆円が計上された。停止したままの観光支援事業「Go To トラベル」延長費用の1兆311億円も含んでいた。

 トラベルの延長は、2度目の緊急事態宣言が首都圏に出される前に計画された事業だった。ところが、宣言発令で旅行どころではなくなり、予算化する理由がないと批判が集中した。

 予算措置のタイミングがミスマッチだったのは明らかで、予算を組み替えるべきだったが、政府は応じようとしなかった。

 コロナ後を見据えた対策と戦略も大切だが、時機が適しているかどうかを見極めなければならない。

 東京をはじめ、首都圏で感染の「第5波」が急拡大し、足元の景気は一段と冷え込んでいる。とりわけ飲食業界は、休業・時短営業に見合う補償が行われず、経営難に苦しんでいる店が多い。これまでの救済策は実態にそぐわず、抜本的な見直しが必要なのは明白だ。

 トラベル事業のように20年度中に使い切れず、21年度に繰り越した予算が30兆円超ある。

 経済対策の財源は、繰越金や21年度のコロナ対策予備費で賄い、足りなければ、国債に頼ることになる。

 ただ、新規国債の発行額は21年度当初予算編成時で既に43兆5970億円に上った。政府は国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を25年度に黒字化する財政健全化目標を掲げている。財政規律の観点からも緊急性を重視すべきである。

 国会はコロナ危機に乗じた税金の無駄遣いを排除し、コロナ禍の集中的な経済対策となるよう、厳しくチェックすべきだ。

 選挙を意識すれば、往々にして大盤振る舞いになる。新鮮味を持たせたいがために、成長戦略という大義の下、不要不急の事業を盛り込むのは、もってのほかだ。

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