被災跡地を活用 トマト、パプリカ栽培 石巻・釜谷で新工場稼働
東日本大震災で甚大な被害を受けた石巻市釜谷に農業生産会社「デ・リーフデ大川」が園芸施設を整備し、トマトの出荷を本格的に始めた。同市北上地区の「デ・リーフデ北上」と合わせ、グループで2工場目。災害危険区域に指定された被災跡地を活用し、生産規模を広げている。
デ・リーフデ大川は敷地面積約4ヘクタールで、市の移転元地などを借り受けた。北上と同様、施設園芸の先進地オランダの技術を活用し、温度や湿度などをコンピューターで管理。大型ガラスハウスでトマトを約0・7ヘクタール、ミニトマトを約0・6ヘクタール、パプリカを約0・9ヘクタールで栽培する。事業費は約14億3000万円。
ハウスは5月に稼働し、7月中旬にミニトマト、同下旬にトマトの出荷を始めた。今月下旬にはパプリカの収穫も始める。冷房設備を強化し、夏から秋に最盛期を設定。冬型の北上と収穫期をずらし、通年の安定した出荷量を確保する。
2016年に栽培を始めた北上は、面積当たりの生産量が全国トップクラスを誇る。全国の市場やスーパーからの需要が伸びており、新工場の整備により生産規模の倍増を見込む。近年人気が高まるミニトマトの栽培にも乗り出した。
新北上川河口に近い大川、北上両地域は日照時間が長く、海と川で発生する霧も栽培に適した環境をつくっているという。両社の鈴木嘉悦郎社長は「将来的に工場を四つに増やし、トマトとパプリカの一大産地にしたい」と展望する。
大川は約50人の雇用を見込む。北上に直売所とレストランを運営する計画も進めており、パート従業員を10~15人ほど募集している。連絡先はデ・リーフデ大川0225(98)7681。