「いのちの石碑」19、20基目 小乗、横浦地区に完成 女川
東日本大震災の教訓を後世に伝えるため、女川町女川中の卒業生らが町内21カ所に建立を進めている「女川いのちの石碑」の19、20基目が小乗、横浦の両地区に完成した。披露式が8日、現地で行われた。
小乗地区では、卒業生でつくる「女川1000年後のいのちを守る会」のメンバーと地元住民ら約20人が参加した。メンバーが碑文に込めた思いや、各浜で津波到達点より高い場所に建てたことなどを説明した。参加者は石碑を前に震災当時やこれまでの生活を振り返った。
石碑は高さ約2・3メートル、幅約1・2メートル。「地震が来たらこの石碑より上へ逃げてください」などのメッセージや「黒津波 女川の景色 消しさった」といった当時の生徒が考えた俳句が石碑ごとに刻まれている。
小乗地区の阿部求行政区長(73)は「若者が地域の未来を思って行動してくれている。石碑の意味をしっかり理解し、住民同士で支え合いたい」と話した。
横浦地区にはメッセージの他に「今ここに 生きててくれた ありがとう」と俳句が記されている。区長の木村初雄さん(72)は「震災を経験した私たちが風化させないように協力しなければいけない」と気持ちを新たにした。
石碑の建立は2013年に始まり、19、20基目は19年11月に完成した。翌年に披露式を行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期していた。
「いのちを守る会」の阿部由季会長(23)は「石碑を建て終えてからがスタートだと思っている。教科書の作成や講演会の実施など発信に力を入れていく」と抱負を語った。
21基目は、昨夏新設された女川小中に建てられ、11月21日に披露式を行う予定。各石碑には住民が感じた震災の教訓などを見られるようにしたQRコードを刻むことも検討されている。