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アニメージュとジブリ展、連日盛況 石巻・来月12日まで

アニメブームを築いた礎と歴史を紹介する貴重な資料などが展示されている会場
実行委員会事務局・菊地晃さん

 石巻市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で開かれている「アニメージュとジブリ展-一冊の雑誌からジブリは始まった みやぎ石巻展」は19日で開幕から2カ月を迎える。

 世界的なアニメブームの礎を築いた月刊専門誌「アニメージュ」の軌跡や、アニメ界をけん引する「スタジオジブリ」の功績を記す200点を超す貴重な資料を展示。初公開のセル画も披露されており、来場者を喜ばせている。関係者もアニメの魅力の発信と関連イベントを展開し、会期終盤に向け盛り上がりを見せている。

<9月12日まで>

 アニメージュとジブリ展は石巻市開成の市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で9月12日まで開催。開場時間は午前10時~午後5時。入場は閉場の30分前まで。観覧料は一般1500円、中高生1000円、小学生800円。土日祝日は日時指定制となっている。毎週月曜日は休館。

 連動企画として会期中はジブリに関するクイズを解答し、修了証がもらえるクイズラリーも実施。石ノ森萬画館開館20周年記念を踏まえ「石ノ森章太郎マンガとアニメ展」を同館で9月20日まで開催中。

インタビュー

 新型コロナウイルス禍で沈滞ムードに包まれる石巻地域だが、「アニメージュとジブリ展」は来場者が途切れることはない。同展実行委員会事務局を担い、石巻市で地域振興事業を手掛ける「街づくりまんぼう」企画営業の菊地晃さん(31)にアニメの魅力や同展の意義、果たす役割を聞いた。(聞き手:白幡和弘)

-開幕から2カ月となる。

 「来場者は新型コロナウイルス禍による移動自粛の影響で県内が中心だが、九州や関西からも訪れている。夏休み前に1万人に達し、衰えないアニメ人気ぶりを実感した。アニメの歴史、奥深さに触れられる絶好の機会。多くの人に足を運んでほしい」

-多彩な展示内容だが、見どころは。

 「注目は『風の谷のナウシカ』だ。大型スクリーンに映える緻密で繊細に描かれたセル画。初公開であり制作のプロセスが理解できる貴重なものだ。展示全体でもさまざまなエピソードをちりばめており、幅広い世代の期待に応えられ、アニメの魅力を体感できる」

-アニメの魅力とは。

 「壁がなく入りやすい。常識にとらわれない自由な表現は、夢とともに目標をも与えてくれる。私も少年野球に打ち込み、野球アニメに夢中になった。打球の方向を瞬時に判断し守備に生かすことをアニメから学び、参考にした。社会人になっても仕事やプライベートでアニメを話題の起点にし、コミュニケーションを広げている」

-地域を巻き込んだ企画もある。

 「東日本大震災やコロナ禍で疲弊する石巻地域に活力の糸口を見いだしたかった。展覧会をモチーフにし、石巻市内の飲食店と連携したコラボメニュー、市中心部での小学生の感想絵展示や高校生の絵画制作、さらには20周年を迎えた石ノ森萬画館との連動企画を展開。来場者がまちに繰り出す相乗効果で地域経済の回復、活性化につなげたい」

-展覧会は後半戦に入る。

 「アニメには人の心を動かす大きな力がある。厳しい社会情勢でも前を向き、勇気の原動力にもなり得る。地方開催は新たな挑戦であり、地域振興を探る上でスキルアップにもなる。スタッフ一丸で安全安心に来場者を迎え、アニメの素晴らしさを発信したい」

来場者の声

「ジオラマにわくわく」広渕小2年 今井桜雅君(7)=石巻市
 「となりのトトロ」のポスターが展示されていてうれしかった。腐海装束の模型やガンダムのジオラマがすごい。見ているだけで気持ちがわくわくする。アニメソングも大好きで、歌うことで元気にもなれる。夏休みの大切な思い出になった。

「ルパン三世が面白い」涌谷一小3年 藤井美優さん(8)=涌谷町
 大好きなルパン三世の作品があり面白かった。登場人物が格好よく、ますます好きになった。ジオラマなど、へぇーと思うことがありいっぱい楽しめた。雑誌のコーナーは難しかったけれど、興味が湧いた。これからもアニメを見ていきたい。

「アニメの原画に驚く」中学2年 伊達結衣さん(13)=仙台市
 ジブリファンの母ら家族5人で見学した。ジブリ作品は題名を聞いたことがある程度だったが、生まれる前の作品なども知ることができて楽しかった。特にアニメになる前の原画の素晴らしさに驚いたので、もっと多くの作品を見たいと思った。

「制作者の思い伝わる」石巻西高3年 阿部嶺さん(17)=石巻市
 ジブリ作品は何十年という歴史があり、実績も素晴らしいと思う。普段何げなく見るアニメだが、制作に携わったさまざまな人たちの熱い思いが重なって出来上がっていると知った。アニメソングにも興味があるので、音楽的な魅力も楽しめた。

「ジブリ作品が大好き」東北学院大1年 吉野莉央さん(18)=七ケ宿町
 スタジオジブリの作品が好きで、ぜひ観賞したかった。模型や、アニメの専門誌など興味や関心が高まる展示内容に満足だ。現実とは違う世界観がアニメの魅力。登場する主人公などを通し、目標を持ち、努力する大切さを改めて認識させられた。

「奥深いアニメの世界」公務員 近藤広太さん(36)=石巻市
 ガンダム世代で、感慨深いものがある。丹念に細部を仕上げ、エピソードも織り交ぜた作品紹介は、アニメ制作の裏側を知る貴重な機会だ。同じ作品でも、年齢を重ねることで見方に違いが生まれる。自分の成長にも気付かされ、アニメは奥が深い。

「プロの線画はすごい」病院事務 青柳健太さん(40)=仙台市
 若い頃、東京の専門学校でアニメーションを学んだ際、アニメージュの表紙などで活躍した先生の講義を受けたことがあり懐かしく観賞した。プロが描く原画、特に線画は素人のそれとは違い、生き生きして質感がある。本物のすごさを味わえた。

「各号の表紙、懐かしく」主婦 阿部敦子さん(40)=山形市
 アニメージュは子ども時分によく買った雑誌。各号の表紙が多数飾ってあるコーナーでは懐かしさに浸り、原画にも感動した。アニメは男性が作っている印象があるが、女性クリエーターも男性とは違った目線から良い作品を作ってほしいと思う。

「セル画見られて感激」会社員 矢羽々雪奈さん(41)=北上市
 初公開のナウシカのセル画を見ることができ大感激だ。ジブリ作品は自然や動物を大切にし、現代社会に与えるインパクトは大きい。ハッピーエンドの結末もいい。アニメは決して途絶えることはない。世代を超えて楽しめる作品の誕生に期待したい。

「人形や模型、出来最高」幼稚園事務 清野光俊さん(53)=仙台市
 ジブリファンで、ガンダム世代でもあるので懐かしく観賞した。中でも「風使いの腐海装束」の人形や段ボール製「オーム」の模型はよくできていたので驚いた。3D化によってアニメへの親しみがより深まるので、さまざまキャラに広げてほしい。

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