「子ども故に伝えられず」 被災した武山さんと高橋さん、当時の苦しい胸中明かす 石巻で講話

自身らの体験を基にした「漫画動画」を見せながら講話する武山さん(左)と高橋さん
MEET門脇で上映中の漫画動画

 東日本大震災当時、東松島市大曲小4年生で、現在、震災ツアーガイド「TTT」として伝承活動をする東京福祉大3年の武山ひかるさん(20)=群馬県伊勢崎市=と、食品メーカー勤務の高橋さつきさん(21)=東松島市あおい=が14日、石巻市門脇町5丁目の伝承交流施設「MEET(ミート)門脇」で2人の被災体験を基にした「漫画動画」を使い講話した。子どもであるが故に大切な情報が伝えられず不信感を持った経験を踏まえ、子どもの目線で、子どもに対しても同じ人間として向き合い伝えることの必要性を語った。

 高橋さんは祖父と両親、4月に誕生するはずだった妹を亡くした。両親は海に近い自宅に帰ろうとしたことで命を落とし「なぜもっと強く引き留めなかったのかという後悔が10年たった今も消えない」と苦しい胸の内を明かした。母親の死を自分に伝えられなかったこと、配慮の欠けるメディアの取材で傷ついたことにも触れた。

 武山さんは小学校で級友の生死について1年間説明されず憤った経験がある一方で、大学で教育を学ぶ中で「教員にとってもどう接してよいか分からなかったのでは」という理解も示した。子どもにも事実を分かりやすく伝えようと、自作した絵本による伝承にも取り組んでいるという。

 語り部活動について2人は「自分たちの経験を話すことで、同じことを繰り返さないため」と話す。2人で新たな語り部団体「Tellー子どもの目線から伝える被災地ー」を立ち上げ、「オンラインを活用するなど、学業や仕事との両立を図り、若い世代も容易に参加できる団体にしたい」と力を込めた。

 公益社団法人3・11みらいサポートが「県内語り部プロジェクト」として、石巻南浜津波復興祈念公園などで来年3月まで月2回程度開催する定期講話の第3弾。漫画動画は県内の被災者6人の体験を基に制作、漫画を仙台市の漫画家井上きみどりさん、声を声優の高山みなみさんらが担当した。MEET門脇で上映するほか、高橋さんと武山さんの話は21日午前11時まで同法人ホームページで公開している。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

秋季高校野球宮城大会 勝ち上がり▶


企画特集

先頭に戻る