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接触せずに「店の味」 コロナ下、広がる無人販売 石巻地方

翔輝の無人販売機。できたての焼き鳥を保温機に補充する
北京大飯店の無人販売スペース。料金箱に代金を入れ、自分で商品を取り出す
ナイスピクニックデイのスイーツの自動販売機。現在は自家製マカロンが並ぶ

 新型コロナウイルスの影響で外食需要がしぼむ中、石巻地方の飲食業界で無人販売が広がっている。人と接触せず購入でき、気軽に店の味を楽しめるのが魅力。新たなニーズを取り込み生き残りを図ろうと、各店が工夫を凝らしている。

 先駆けとなったのは、石巻市双葉町の焼き鳥店「翔輝(しょうき)」。昨年7月、店先に無人販売機を置き、焼き鳥の販売を始めた。1袋4本入りで500円。多い日には600本を売り上げる。

 販売機に代金を入れ、自分で保温機の引き戸を開けて商品を取り出す昔ながらの仕組み。メディアで紹介されると全国の飲食店から問い合わせが相次ぎ、40店以上にノウハウを伝えた。

 今春、防犯カメラを新調。商品の盗難被害は月1件ほどに抑えられている。

 8月にそうざい製造業許可を取り、無人販売機は近く市内で5台体制にする。草野雄太代表(40)は「待たない、人に会わない、気軽に買える無人販売は、コロナ後も必要とされる。後に続く飲食店のためにも頑張りたい」と意気込む。

 店の出入り口の一角を利用し、24時間冷凍ギョーザを販売するのは、同市大街道南5丁目の「北京大飯店」。料金箱に代金を入れ、冷凍庫から商品を取り出す。3月に始めると、36個1000円の手頃さも受けて多い月には270セットを売り上げる。冷凍エビチリ(1000円)も好評だ。

 店内飲食が減り店頭で弁当を販売した時期もあったが、売れ残ることもあり課題も多かった。冷凍品はロスが出ず、無人販売で人件費も掛からない。

 山本一弘社長(52)は「コロナ禍を嘆いていても仕方ない。新しいことに挑戦し、店のファンを増やしたい」と意欲を燃やす。

 JR石巻駅前にある弁当とスイーツの持ち帰り専門店「ナイスピクニックデイ」は今夏、店頭にスイーツの自動販売機を設置した。試験販売中で、現在は自家製マカロン(200円~)が並ぶ。中高生が小遣いで買える価格設定を心掛け、日持ちする焼き菓子を充実させていく計画だ。

 自販機での24時間販売により消費者は利便性が高まり、店側は営業時間にとらわれない働き方ができるなどの利点がある。浅野基代表(31)は「飲食店にとって武器になるスタイルを探りたい」と力を込める。

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