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あす宮城に緊急事態宣言 酒類提供全域停止へ 県、市町村長会議

斎藤市長(手前左)らがオンラインで意見交換した市町村長会議

 新型コロナウイルスの全国的な感染急拡大を受け、政府は25日、緊急事態宣言の対象地域に宮城など8道県を追加することを決めた。県は同日、市町村長会議を開き、県内全域の飲食店に酒類提供の終日停止を要請する方針を示した。26日の対策本部会議で正式決定する。宣言適用期間は27日~9月12日で、県内への発令は昨年4~5月以来、2回目。

 県内には20日、まん延防止等重点措置が適用され、仙台市内の全飲食店に酒類提供の終日停止と営業時間短縮が要請されている。宣言適用に伴い、これを県全域に拡大する。

 市町村長会議はオンラインで開かれた。県は宣言対象地域に追加された場合の対応案を説明。酒類やカラオケを提供する飲食店には休業を要請し、提供を取りやめた場合とその他の飲食店には午後8時までの時短営業を求める。

 飲食店以外では、延べ床面積1000平方メートルを超える商業、遊興施設に午後8時までの時短営業を要請。1000平方メートル以下にも協力を依頼する。イベントは一律、収容上限を定員の5割で最大5000人とする。要請に全面的に協力した飲食店や商業施設には協力金を支給する。

 学校の対応に関して村井嘉浩知事は「一斉休校は考えていない。県立高校は部活動を原則自粛し、オンラインを活用した分散登校に取り組む」と語った。

 会議終了後、石巻市の斎藤正美市長は「宣言適用はやむを得ない。市民一人一人が緊張感を持ち、自分を守る行動に徹してほしい」と話した。女川町の須田善明町長は「経済、社会活動を完全に止めるのは難しいが、一定程度の制約はお願いせざるを得ない状況だ」と述べた。

 東松島市は25日の対策本部会議で、宣言期間中は学校施設のスポーツ団体などへの貸し出しを中止する方針を決めた。図書館など公共施設の市民以外の利用の可否は26日に決める。渥美巌市長は「パニック的な状況にあるが冷静に判断し、3密回避などの原点に立ち返って対策を進めよう」と呼び掛けた。

 石巻市は26日、女川町は27日に対策本部会議を開き、対応を確認する。

<飲食、観光関係者「やむなし」>

 宣言が発令されると、外出自粛の強化が見込まれ、観光、飲食業界への影響はより大きくなりそうだ。

 一般社団法人石巻観光協会の後藤宗徳会長は「観光、飲食業界としては大変残念だが、拡大状況を見ればやむを得ない」と受け止める。業界は裾野が広く「少しでも経済を回さなければ持たない。感染防止に努めた上での少人数、短時間での飲食はしてほしいというのが希望だ。テークアウトも利用してほしい」と複雑な思いを吐露する。

 石巻市の観光拠点の一つ、石ノ森萬画館の運営会社街づくりまんぼうの木村仁社長は「対策はできる限りやってきた。来館者減は仕方がない。感染防止が第一。より気持ちを引き締めたい」と話した。

 石巻市と女川町で開催中のアートと食、音楽の総合祭「リボーンアート・フェスティバル(RAF)2021-22」夏会期の実行委員会も今後の対応を協議している。事務局によると、変更があった場合はホームページで発表するという。

 夏会期は9月26日まで。今月28日に食をテーマにしたトークセッション、29日はRAF実行委員長で音楽プロデューサーの小林武史さんやミスターチルドレンの桜井和寿さんらが出演する音楽イベントがいずれも市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)で予定されている。

桃生郡医師会副会長(感染症対策理事)宍戸友明氏に聞く

 桃生郡医師会副会長(感染症対策理事)の宍戸友明氏(62)は「現場の診療では明らかに発熱患者が増えている。気の緩みが新型コロナウイルス感染拡大を生んでいる。緊急事態宣言は妥当。できれば学校も休校にしてほしい。宣言により影響を受ける業種もあるが、医療現場も都会から離れた地方であっても逼迫(ひっぱく)していることは明らかだ。一人一人が自覚を持って生活してほしい」と指摘する。

 「デルタ株の広がりが懸念される。従来のコロナウイルスより感染力が4~8倍強いと言われる。相変わらず無症状の人からも感染するので気を付けなければならない。さらに若者や子どもにも感染するので注意が必要だ」と警戒する。

 今必要とされる感染対策について「飛沫(ひまつ)感染予防はマスク、エアロゾル感染予防は換気、接触感染予防はアルコール消毒・手洗い。特に、デルタ株に関しては換気が重要。マスクをしていても感染するのは換気不足。窓を開けて自分と家族の身を守ってほしい」と呼び掛ける。

 「妊婦は医療の受け入れ態勢が難しくなっているので、本人と家族は必ずワクチン接種を受ける。副反応は産婦人科学会でも妊娠している人と妊娠していない人とで差がないとしている。ワクチンは胎盤に移行しない。生きた免疫は赤ちゃんを守ってくれる」とワクチン接種を勧める。

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