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女川産オリーブの葉を香辛料に 石巻の飲食店、農業法人と連携

色鮮やかなオリーブ塩でお肉をおいしく。「ぜひお試しを」と話す志摩部長(左)

 県内産の食肉でステーキやハンバーグを提供するディーズ・ハピネス・イオンモール石巻店(石巻市茜平4丁目)で、同市北境の農業法人ソーシオが女川町で栽培しているオリーブの葉を活用した香辛料が使われている。共に「石巻圏域の食材を生かしたい」と考える両事業者の連携から生まれた。

 ソーシオがオリーブを栽培していることを知ったディーズ側が持ち掛けた。塩と混ぜ合わせるため、オリーブの葉を粉末にしてもらい「オリーブ塩」として開発した。8月中旬から、ステーキ注文客に独自ソースと共に提供されている。

 鮮やかな緑色がステーキに彩りを添える。同店現場責任者の志摩由元部長(55)は「お客さんのお好みで使っていただき、味の変化、肉のうま味を感じてもらえれば幸い」と話す。

 オリーブの葉は、東日本大震災の津波で被災し、耕作放棄されていた女川町御前浜、指ケ浜の民有地計2ヘクタールを借り受けて栽培している1300本から採った。

 ソーシオの阿部栄三郎社長(69)は「石巻地方は日差しに恵まれ、いいオリーブが育つ。採取した葉、搾ったオイルとも高濃度のポリフェノールを含み良質。石巻の新たな食材として可能性は無限大だ」と胸を張る。

 今年に入り、オリーブの葉を使ったお茶を開発し、ティーバッグ商品として6月下旬から、同市小船越の道の駅「上品の郷」で販売している。さらに粉末は仙台市の天然酵母パン専門店に提供され、商品開発が進んでいる他、石巻市内でも数軒が新商品の材料として検討している。

 ディーズ・ハピネス・イオンモール石巻店は、金華サバを使ったカレーも提供している。生まれも育ちも石巻の志摩部長は、地元産食材の採用に力を入れており、石巻産業創造I-Bizの仲立ちで、オリーブの葉に出合った。「従来にない発想と連携で石巻らしさを見いだしていきたい」と意欲的だ。

 阿部社長も「震災復興支援の縁でオリーブ栽培が石巻地方で始まった。復興から一歩踏み出し、新しい石巻の産業創造へ、志を同じくする仲間と歩んでいきたい」と応じる。

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