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緊急事態宣言 居酒屋など休業、関連産業に影響広がる 石巻地方

休業を知らせる張り紙が貼られた店が並ぶ石巻市内の商業ビル

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が27日、県内に発令された。県の要請を受け、石巻地方でも酒類を提供する飲食店やカラオケ店などが休業を開始。食材の生産者や納入業者など関連産業へも影響は広がっている。期間は9月12日まで。

 石巻市立町で居酒屋を営む女性(62)は、感染拡大防止のため迷わず休業を決めた。26日は飲み納めにと来店客が増えたが「3密」を避けるため、多くを断ったという。「稼ぎたいけれど、そうも言っていられない。東日本大震災後、死にものぐるいでやってきたところで今度はコロナ。めいってしまう」とため息をつく。

 東松島市矢本のカラオケ店「カラオケランドスターみゅうじくん」も休業する。昨年末に個室を抗菌・抗ウイルス仕様に改装するなど、感染対策を徹底。高齢者の間でワクチン接種が進んだこともあり、ようやく売り上げがコロナ前の半分ほどに戻りつつあった。オーナーの新井康子さんは「休業要請が明けてもすぐには客足は戻らない。またマイナスからのスタートになる」と肩を落とし「カラオケボックスは家族などで1部屋を利用する。不特定多数が同じ空間でマイクを握る店とは違う」と訴える。

 時短営業を選んだのは、石巻市中央2丁目のイタリア料理店「ベルコルポ」。周囲で休業する店が多い中、酒類は提供せず午後8時まで営業する。オーナーシェフの阿部純一さん(52)は「テークアウトや食事だけでもいいと来てくれるお客さんもいる。短時間でも営業し、街に明かりをともしたい」と前を向く。

 酒類提供店への納入業者も大きな打撃を受ける。

 石巻市向陽町1丁目の「一山さいとう酒店」は市内外60の飲食店に酒などを配達しており、卸が売り上げの7割を占める。前回の緊急事態宣言時は売り上げが9割減った。ビールは賞味期限があり、休業が長引けば廃棄せざるを得ない在庫品が出てくる可能性もある。斎藤昌徳専務(53)は「お酒が悪者になっているようで残念。先の見通しが立たず不安だが、何とか乗り越えたい」と話す。

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