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陸閘・水門を自動閉鎖 現地作業の危険回避 石巻市、11漁港で運用開始

開閉操作が実演された小網倉漁港の陸閘

 石巻市は8月31日、人や車が通るために防潮堤に設けられている「陸閘(りっこう)」と水門を津波警報などが出された際に自動で閉じる遠隔システムの運用を市管理の11漁港25カ所で始めた。市管理漁港では初の導入。東日本大震災の被災地では水門などの閉鎖に向かった消防団員らが犠牲になっており、津波の襲来時に人が現地で作業する危険を回避する。

 全国瞬時警報システム(Jアラート)や県総合防災情報システム(MIDORI)を通じて津波警報や高潮警報などが発令されると、陸閘は4分後に閉鎖が始まり5分以内で閉まる。閉まった後はゲートに設けられた扉を使って避難する。

 開閉時は音と赤色灯で注意を促し、人や車が挟まれそうな時は動作を一時止める。上部に取り付けたカメラで周辺を写し、市役所から漁港の様子や開閉状況が確認できる。

 停電時は発電機が作動し、自家発電に切り替わる。水門は発令後すぐに閉鎖が始まる。

 市は計14漁港30カ所で運用を計画し、整備費は約13億9000万円。残りの3漁港5カ所は来年2月の運用開始を予定している。

 4カ所の陸閘にシステムが導入された小網倉漁港で8月29日に説明会があり、市関係者や漁業者ら約25人が参加。担当者がシステムについて説明し、陸閘の開閉操作を実演した。

 斎藤正美市長はあいさつで「漁港施設や防潮堤の災害復旧工事に合わせて整備を進めてきた。消防団など地元の方にお願いしていた操作が不要となり、直ちに住民の避難行動が可能になる」と話した。

 小網倉地区の行政委員亀山正利さん(63)は「消防団が陸閘や水門に携わらなくて済めば、人命を救う一助になる。震災のような大津波は防ぎようがなく、今後とても役立つと思う」と期待した。

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