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まん延防止へ移行 認証店、通常営業可能に 客足見込めず時短選択も 石巻

約20日ぶりの提供となるビールをジョッキに注ぐ従業員=居酒屋「味彩しん家」

 県内に出されていた新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が13日、まん延防止等重点措置に移行された。県は飲食店への休業要請を時短要請に切り替え、酒類の提供が可能となった。県独自の感染症対策基準を満たした「認証店」は通常営業が認められるが、来客が見込めず時短営業を選んだ店も多い。

 石巻市立町2丁目の居酒屋「味彩しん家」には、午後5時の開店直後に常連客ら2組が訪れた。店は宣言期間中もノンアルコールを提供して営業を続けてきた。店主の柏山彰さん(47)は「時短営業だが、ようやくお酒が出せた。お客さんはもちろん、酒屋さんにも喜んでもらえる」と話した。

 県は、仙台市以外の飲食店には午後8時までの時短営業(酒類提供は午後7時まで)を要請した。感染防止対策を認証した店には、通常営業で酒類の終日提供も認めた。

 認証店の同市新成1丁目の居酒屋「味彩絆本店」は14日から、午後10時(土曜は午後11時)までの通常営業を行う。36項目に及ぶ認証基準を満たし、独自にトイレや換気設備も改修するなど対策を徹底してきた。店主の阿部光伸さん(52)は「認証店へのご褒美。通常営業できるのはありがたい」と期待を寄せ「認証基準のハードルは高くない。全ての飲食店で導入が進めばいい」と願う。

 一方で、客足が見込めず時短要請に従う認証店も多い。

 同市立町2丁目で「炭や」を営む佐藤勝男さん(65)は「まだ飲みに出るという雰囲気にならないだろう。短い時間でもくつろいでもらえるよう準備したい」と語る。

 同市鋳銭場の「うわぬま屋」も午後8時までの営業にとどめる。店主の渡辺重喜さん(46)は「人出は鈍いと思う。早く何も気にせず飲みに行ける世の中になってほしい」と話す。

 近くの「居酒屋大すけ」は認証の取得を見送った。店主の佐藤大典さん(46)は「人出がすぐに戻るとは思えず、それほどメリットを感じなかった」と話す。感染対策はしているが、認証取得にはさらに設備が要る。融資や貯蓄で経営をつないでおり、「正直、購入費用も厳しい」と言う。再開しても利益が出るかは未知数だ。佐藤さんは「仕事をできる喜びはある。1日何組かでも来てもらえれば」と前を向いた。

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