デスク日誌(9/15):熱気のない夏

 日が落ちて暗くなった駐車場で、男たちが交代で竿燈を掲げた。時にバランスを崩し倒す。本番が近づくにつれ、ちょうちんがぼろぼろになっていった。
 秋田総局にいた5年前の夏、秋田竿燈まつりに出場する60代の男性を取材した。竿燈は最大の「大若」だと重さ50キロ、高さ12メートルある。これを手のひらや腰などで支えるのだから体力を使う。男性は若手に交ざって黙々と練習を続けていた。
 祭りは、豊作や疫病退散などを祈願し、地域に一体感をもたらす。かつての赴任地を振り返ると、奇祭と呼ばれるものを含め、どこの祭りも魅力的だった。
 人口減少で祭りの維持に苦労する地域は当然ある。神社の例大祭に欠かせないみこしの担ぎ手を公募に託したところがあり、自分も参加したことがある。立ち寄った特別養護老人ホームでは高齢者たちが笑顔で待っていたのを思い出す。次代につなぐ重みを感じた。
 今夏もコロナ禍で中止した地域は少なくない。手元には、餞別(せんべつ)で頂いた秋田の祭りを描いた手ぬぐいがある。このうちの幾つ開催されたのだろうか。夏が去り、出番の減った手ぬぐいをじっと眺めた。
(報道部次長 渡辺晋輔)

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