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うねうね細長~い体形 「見たことない虫、調べて」 石巻・北上町

ハリガネムシを見る遠藤さん
体長30センチほどのハリガネムシ

 「自宅の庭で見たことのない虫を捕まえた。調べてほしい」。石巻市北上町十三浜の遠藤竹蔵さん(73)からそんな依頼を受けた。虫は体長30センチほどで、うねうねと体をくねらせる。正体を突き止めるため取材を始めた。(嶋田夕子)

 細い木の枝や枯れ草のようにも見える特徴から寄生虫のハリガネムシ(針金虫)ではないかと見当を付けた。この虫を研究している神戸大大学院理学研究科の佐藤拓哉准教授(42)に画像で確認してもらうと、ハリガネムシと分かった。

 ハリガネムシは、カマキリやカマドウマなどを最終宿主にする。宿主の体内で成虫になると繁殖のため、水中で生きることができない宿主を何らかの方法で操作して入水させる。だがその仕組みは100年以上解明されていないという。

 佐藤准教授らの研究チームは昨秋、昆虫にだけ見える光の性質「水平偏光」に対する感受性を操ることで、宿主に入水させる可能性が高いとする解明への手掛かりを発見。世界初の研究成果で、今年6月に米科学誌のカレントバイオロジーに掲載された。

 ハリガネムシは全国に分布し、この時期に見掛けることが多いという。触っただけでは人体に影響はないが、誤飲による腹痛が年に数例報告されているので注意が必要だ。

 不可解なのが、虫を捕まえた遠藤さんの庭には水辺らしい所はなく、発見場所がアスファルトの上だった点。佐藤准教授によると「まだ不確定だが、アスファルトからも水平偏光が出ている可能性があり、水辺と間違えたのではないか」とみる。

 遠藤さんに報告すると、「何の虫かと不思議に思っていた。人体に悪影響があるかもしれないと心配だったが良かった」と胸をなで下ろしていた。

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