石巻に二つの壁画アート 千葉の河田さん、石巻の今村さん制作
複合エンターテインメント施設「シアターキネマティカ」の開設計画が進む石巻市中央1丁目の空き店舗に、二つの壁画アートが完成した。東日本大震災後、地域に数々の壁画を描いた2人のアーティストが手掛けた。鮮やかな色彩と精密なタッチの作品が並び立ち、通り掛かる人々の目を楽しませている。展示は26日まで。
壁画といったアート文化を地域に取り戻す「石巻 mural art project」の一環。復興支援活動を通し、被災した石巻の市街地に多くの壁画を残したボランティアの中から2人が参加した。
抽象画にストリートアートの雰囲気を落とし込んだのは千葉県柏市の画家河田蒼(あお)さん。約10年ぶりに石巻を訪れ、地域の人々との再会を楽しみながら制作に打ち込んだ。「毎週末に極寒の中で絵を描き、風邪をひいて地元に帰るのが習慣でした」と当時を振り返った。
作品のタイトルは「JAMMY(ジャミー)」。英語の俗語で「降り注ぐ幸福」という意味だという。遠方から石巻を思い続けた自身の内面も反映させ、躍動的な色合いに仕上げた。
もう一つの作品は、中央2丁目の日本料理店でおかみを務める今村由紀さん(33)が担当。石巻の豊かな自然を連想させるデザインを、黒のフェルトペンのみで緻密に描き上げた。自身が好きなカエルを随所に忍ばせる遊び心もあり、見る人を楽しませている。
壁画アートのプロジェクトは、動画などの連動コンテンツの制作資金を募る目的でクラウドファンディングも実施している。