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岸田新首相に要望 復興支援継続や少子化対策 石巻地方

 自民党の岸田文雄総裁(64)が4日、衆参両院本会議の首相指名選挙で第100代首相に選ばれた。新型コロナウイルス感染拡大が社会の分断を深める中、「聞く力」を掲げた新首相。東日本大震災で被災した石巻地方の首長や市民からは早速、復興支援の継続や地方再生、少子化対策などで切実な声が上がった。

 斎藤正美石巻市長は「誠実な人。地方の声を今まで以上に吸い上げ、政策に生かしてくれるだろう」と期待した。震災から10年が経過しても市の復興事業は完結していない。「最大被災地の石巻に早いうちに来て、今の課題を捉えてほしい」と望んだ。

 渥美巌東松島市長は「新型コロナの収束や心の復興に向けた政策、人口減少対策に注力してほしい」と要望。コロナ禍で米価が下落し、生産者は苦境にある。「農林水産業を支える地方の衰退は国の危機だ。地方の声を政策に盛り込んでほしい」と求めた。

 須田善明女川町長は「若手を積極的に起用し、新しい風を入れようとしている」と新内閣の印象を語った。国民との信頼関係の醸成を求め、「ご自身の言う『聞く力』がベースになり、聞いた声をどう反映させるかで国民の期待が生まれる」と指摘した。

 石巻市駅前北通り1丁目の印刷会社スズケイは震災で工場が浸水した。国の支援を受けて再建したが、二重ローンがのしかかる。鈴木孝正社長(46)は「コロナの影響で業績が回復しない中、借入金を返さなければならない。被災地の声を聞いてほしい」と語った。

 岸田首相は「子ども庁」創設に意欲を見せる。3歳と1歳の子を持つ東松島市矢本の販売員高橋祐香さん(30)は「育休中や育休明けは時短勤務で収入が減り、不安があった。金銭や気持ちにゆとりを持って子育てができる世の中になってほしい」と望んだ。

 「新型コロナで傷んだ経済の再生が第一」と話すのは石巻市住吉町2丁目の板橋一男さん(79)。石巻地方は人口減少が加速する。「地方再生には新産業が欠かせない。企業の進出を後押しし、若い世代の雇用を生み出してほしい」と求めた。

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