石巻産ホタテ使った「炊き込みご飯の素」完成 生産・加工・飲食が連携
石巻産ホタテを使い、石巻市の水産加工会社と飲食店経営者とが連携して開発した冷凍食品がこのほど完成した。飲食店の看板メニューの味を忠実に再現し、既に系列店で提供を始めた。さらに加工業者の親会社で東証一部上場企業の株主優待品としても採用が決まった。
開発したのは石巻市万石町の水産加工会社「ハイブリッドラボ」と、市内で「海彦山彦」などの飲食店を経営する大森林グループ。
商品名は「ほたて炊き込みご飯の素」で、ホタテは同市大谷川浜の養殖業、渡辺隆太さん(37)が育てた。ハイブリッドラボの仕入れ先の一つで、成育地の南限に当たる牡鹿半島のホタテは肉厚でうま味成分が豊富なことで知られる。
渡辺さんが丹精して育てたホタテを使い、大森林グループの看板メニューの一つ「ほたての土鍋めし」を忠実に再現できるよう試行錯誤を繰り返した。
ハイブリッドラボは、商業施設などの設計、施工を手掛けるラックランド(東京)の子会社。ラックランドは東日本大震災の復興支援として年に2回、被災地の商品を株主優待品に組み込んでいる。石巻の水産加工品の詰め合わせセットなどが採用されている。
全国の株主に届けるために今回は、鮮度と味の再現性の高さから冷凍にすることにした。ハイブリッドラボの石橋剛社長(50)は「加工には苦労したが、お年寄りから子どもたちまで、いつでもどこでも産地を感じてもらえるような商品にできた」と話す。
大森林グループの林正徳社長(50)は「ようやく納得のいく味になった。この経験を生かし、さらなる商品開発、オンラインショップなど全国への販路開拓を検討していく」と将来を見据える。
石巻市6次産業化・地産地消推進助成制度を活用し、企業の連携を後押しする石巻産業創造I-Bizが仲立ちした今回のプロジェクト。新型コロナウイルス禍で苦しんだ石巻地方の飲食店、食材納入業者、飲食店の今後の方向性としても注目されそうだ。