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子どもたちに成功体験を 女川移住の男性、スポーツプログラム提供

女川町しおかぜ保育所でスポーツプログラムを開く原田さん(奥)

 女川町に移住し、スポーツプログラムを提供する会社を起業した原田直信(なおとし)さん(31)が、子どもたちに体を動かす楽しさを伝える活動に取り組んでいる。町内の保育所や石巻、女川両市町でのスクールを通じ、スポーツの成功体験を生きる力につなげてほしいと願う。

 町しおかぜ保育所では月に3~4回、町第4保育所では月に1回、原田さんが講師を務めるスポーツプログラムがある。1回45分で構成し、転がしたボールに触れないように逃げるゲームや、「けんけんぱ」を取り入れて片脚や両脚でするジャンプ、リレーなどさまざまな動きを盛り込む。

 原田さんは「前向きな言葉を掛け、上手な子には見本になってもらう。その子の自信になり他の子も一緒に喜んでくれる」と話す。

 石巻市と女川町に8月、有料のスポーツスクールを開校した。年少から小学3年生を対象とし、運動能力を高めるとともに非認知能力の向上を見込む。11月には発達障害のある子を対象にした教室も始める。

 原田さんは大阪府箕面市出身。3歳の時にサッカーを始め、国見高(長崎)で全国大会4強に入った。大学まで競技を続け、2013年にロート製薬(大阪市)に入社。営業職を経験し、19年に自ら希望して同社などが設立した公益財団法人「みちのく未来基金」(仙台市)に出向した。

 基金は東日本大震災で親を亡くした子どもたちの進学支援に取り組んでおり、原田さんは東北の子どもたちと触れ合う中で、子どもたちのために何かしたいと思うようになった。女川町の健康づくりに関するプロジェクトにも携わり、女川での起業を決めた。

 町内のNPO法人アスヘノキボウで創業プログラムを受講し、スポーツプログラムや健康づくりの事業を展開する「つなぐ」を5月に設立した。社名には子どもたちの未来をつなぎたいとの思いを込めた。ロート製薬を7月で退社し、仙台から町内に引っ越した。

 原田さんは月謝制の教室を開く一方で、保育所などの活動を通して、家庭環境や保護者の収入に左右されず多くの子どもたちにプログラムを体験してほしいと考える。「体を動かす遊びを知り成功体験を積むことで、非認知能力や生きる力を養ってほしい。女川での取り組みをいずれは全国に広めたい」と意欲を語る。

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