閉じる

衆院選・宮城5区 前新2氏、政策訴え第一声

候補者の訴えを聞く有権者ら=石巻市内
安住淳候補(あずみ・じゅん)、石巻市出身。早稲田大社会科学部卒。NHK記者を経て1996年初当選。防衛副大臣、財務相などを務め、2019年9月から立憲民主党国対委員長。
森下千里候補(もりした・ちさと)、名古屋市出身。名古屋学院大中退。2002年女優デビュー。16年にジム経営とゴルフ用品の会社を設立、19年に芸能界を引退。今年4月から自民党宮城5区支部長。

 第49回衆院選は19日公示され、宮城5区には9選を狙う立憲民主党前議員の安住淳氏(59)と、元タレントで自民党新人の森下千里氏(40)=公明推薦=が立候補した。野党統一候補として臨む安住氏は「アベノミクス、1強政治を終わらせ、政治を刷新する」と強調。森下氏は「住民と同じ目線で地域の課題を解決していく」と訴えた。投票は知事選と同じ31日で、即日開票される。18日現在の宮城5区の有権者は25万2831人。

 

安住  淳候補(59)〔党国対委員長 立前(8)〕

<1強政治に幕を>

 2カ月前、連日多くの新規感染者を出し、東京では患者が入院できなかった。国民皆保険では考えられないことだ。政府のコロナ対応は後手後手に回った。岸田政権は安倍・菅政権の延長だ。有権者は厳しい審判を下してほしい。自民の1強政治を終わらせ、アベノミクスをやめさせるのは国民の1票が決める。今こそ、政治を刷新し、新しい時代に導くため、先頭に立って必死で頑張りたい。

●安住陣営 地元に精通した候補を
 安住候補は新型コロナウイルスの影響で観光が打撃を受けた松島町で出陣式を行い、第一声を上げた。支持者ら約100人が応援に駆け付けた。 
 青山久栄選対本部長が「相手は落下傘候補。地元に精通した安住候補を押し上げてほしい」とあいさつ。安住候補は第一声で、岸田文雄首相が自民党総裁選で掲げた金融所得課税の強化を見送った点を痛烈に批判。選択的夫婦別姓に慎重な姿勢に「導入していないのは世界の先進国の中で日本だけだ」と切り捨てた。 
 「頑張ろうコール」で鼓舞した後、安住候補は選挙カーに乗り込み、遊説を開始。大郷町、大崎市鹿島台、遠田郡を回り、支持を訴えた。JR石巻駅前など8カ所で街頭演説した。 
 

森下 千里候補(40)〔元会社代表 自新(公推)〕

<女性の力が必要>

 地域がよりよくなるには女性の力が必要。女性が元気な職場は会社全体が明るく、社会にもいい影響を与える。長く活躍し、安心して子育てができる環境も整えたい。宮城5区は震災の影響を強く受けているため、他の選挙区とは違う。今でも二重三重の苦しみを感じていることを多くの人に知らせていく。戦いは今から12日間ではなく、一生の戦い。今日をスタートに、生涯頑張っていきたい。

●森下陣営 政権与党の政治を強調
 森下候補は石巻市のヨークベニマル石巻蛇田店前で第一声を上げた。「東日本大震災から10年が過ぎ、地域の医療体制や介護の担い手不足など課題が山積していることを肌で感じている。現場の話を聞き解決に取り組みたい」と力を込めた。 
 さらに、宮城5区には健康促進につながる施設が足りないと指摘。「健康な人がたたえられる社会を実現させる」と誓った。 
 集まった約300人を前に、自民党宮城5区支部幹事長の佐々木喜蔵県議は「政権与党の政治家として住民の幸せを守り、地域を発展させてくれるだろう」と期待し、支持を訴えた。 
 初日は石巻市あゆみ野や女川町などを回った。東松島市では2カ所で街頭演説に臨んだ。

 

■遊説日程(20日)

【安住陣営】
▽選挙カー=石巻市門脇復興住宅、二子団地、大川、沢田、JR女川駅前、石巻市吉野町復興住宅、東松島市野蒜ケ丘、石巻市河南

【森下陣営】
▽選挙カー=涌谷町、大崎市田尻、美里町小牛田、同南郷、大崎市鹿島台、大郷町、大崎市三本木
 

◇有権者の声

 衆院選(31日投開票)が公示され、12日間の舌戦に入った。衆院解散から、投開票まで17日間という超短期決戦。新型コロナウイルス対策や経済再生、少子化対策などを巡る論戦の中で、石巻地方の有権者が求める施策を聞いた。

 新型コロナ禍で、飲食店や酒販店は大きな打撃を受けた。約60店に酒などを卸す石巻市向陽町の「一山さいとう酒店」の斎藤昌徳専務(53)は「コロナとうまく付き合えるような施策を準備してほしい」と切望。「企業誘致や産業育成などで石巻の財政が良くなるよう、地元選出議員に国政で結果を出してもらいたい」と期待する。

 子育て支援策にも注目が集まる。石巻市蛇田の20代の主婦山本玲奈さんは第2子を妊娠中。県外で長男を出産した時より、新生児期の検査費用の自己負担額が増した。近所の公園は遊具などの管理が行き届いていない所もあり、安全性に不安を感じるという。「安心して子育てできる経済的支援や環境整備を進めてほしい」と訴える。

 人材不足が課題の介護業界からは、待遇改善を求める声が挙がる。女川町の介護老人福祉施設管理者の斎藤俊さん(58)=東松島市小松=は「介護職員の処遇は良くなってきているが、まだまだの部分もある。事務員や生活相談員らの給与も上げられるように、施策を充実させてほしい」と話す。

 若い世代が定着できる地域づくりを望むのは、石巻市貞山1丁目の会社員平塚杏奈さん(27)。関東の大学を卒業後、石巻にUターンした。「石巻は職業の選択肢が限られ、就職活動で苦労した」と振り返る。「新型コロナ禍で地方が注目されている今こそ、若者が安定して暮らせる街づくりをしてほしい」と語った。

 東松島市矢本上河戸の無職三上栄喜さん(78)は「9党党首討論会で、政治家らしからぬ乱暴な言葉遣いをする人がいて心配になった」と嘆く。エネルギー問題と子育て支援に関心を寄せ、「原発推進に賛成。電力不足解消のため、ある物は使った方が良いと思う。子どもたちが平等に教育を受けられる社会になってほしい」と話した。

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

ライブカメラ