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旧女川駅舎、模型で再現 町役場1階に展示 東北電力寄贈

旧JR女川駅の模型。中をのぞき込むと、駅利用者の姿も見える
須田町長(左)に目録を手渡す若林所長

 東北電力は、東日本大震災で全壊した旧JR女川駅の立体模型を女川町に寄贈した。震災から10年の節目に、かつての町の象徴的な建物を後世に残そうと、立体間取り作家のタカマノブオさん(59)=福井県坂井市=に制作を依頼していた。町役場1階エントランスホールに展示されている。

 模型は実物の45分の1の大きさで、幅約50センチ、奥行き約15センチ、高さ約20センチ。JR東日本が提供した図面や、町や町民が持っていた写真を参考に2009~10年ごろの駅舎を再現した。

 タカマさんは昨年12月に制作を開始し、約4カ月かけて模型を完成させた。瓦屋根やステンドグラスのある外観のほか、待合室の自動券売機や小上がりなど内部も忠実に再現。駅前に停車したタクシーや温泉施設の一部など、周辺の様子も切り取った。

 模型は町役場で1日にあった贈呈式で披露された。女川原発の若林利明所長は「最初の赴任地が女川だったので、駅から海が見えたのを覚えている。模型を見て町を発展させる活力につなげてほしい」と話した。

 須田町長は「記憶にあるどこかの一瞬を切り取ったかのように精巧に再現してくれた。震災から10年がたち、未来に歩んでいく励みになる作品だ」と感謝した。

 映画やアニメに登場する建物の立体模型を手掛けるタカマさんは、3月に町内の女川原発地域総合事務所で作品展を開いた。

 タカマさんは取材に、「町の玄関口には誰しも思い出があると思う。無くなった物は取り戻せないが、記憶をよみがえらせるツールにして心を和ませてほしい」と話した。

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