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SAY’S東松島、震災伝承館で初の公開語り部 避難と備えの大切さ訴え

野蒜地区の被災直後の様子や住宅再建について語る山縣さん(右)

 東日本大震災の伝承活動や防災教育に取り組む東松島市の市民グループ「SAY’S(セイズ)東松島」が活動を本格化させた。「世界津波の日」の11月5日、市震災復興伝承館で初の公開語り部活動を行い、代表で防災士の山縣嘉恵さん(53)が避難と備えの大切さを呼び掛けた。

 伝承組織の関係者や自治体職員ら約20人が震災遺構の旧JR野蒜駅プラットホーム周辺を見学した。山縣さんは駅に高さ3.7メートルの津波が襲った様子や駅から約600メートル東で緊急停車した下り列車の乗客約60人が地元男性の助言で車内にとどまり難を逃れたことなどを紹介。高台への集団移転や、慰霊碑を訪れる遺族の思いなどにも触れた。

 野蒜駅北にある私設避難所「佐藤山」について、震災前から津波避難の必要性を感じていた地元の佐藤善文さん(87)が岩山を開墾し、約70人を救ったと説明。山縣さんは「佐藤さんはいつでも来られるようにと公園の整備を続けている。行き慣れた場所でないと災害時には行けない」と語り、地域を知る大切さを訴えた。

 参加した同市牛網の自営業神吉恵子さん(48)は「震災から10年が過ぎ、防災意識は薄れがちだ。日頃から地域を知り、今災害が起きたらどう行動すべきか考える契機になった」と話した。

 セイズ東松島は昨年12月、防災士や地元住民ら計5人で結成した。今回の語り部は、伝承館での市民活動の足掛かりにしたいとメンバーが市に提案し、初の市民企画事業となった。

 山縣さんは「語り部の要請があった際、ニーズに添った地元の人を紹介する窓口になりたい。市民が持続可能な伝承活動を行うきっかけになれば」と意気込む。

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