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復元船サン・ファン・バウティスタ号、解体始まる 石巻

解体工事が始まった復元船サン・ファン・バウティスタ号

 老朽化が進む中、改修での存続断念を決めた石巻市渡波の県慶長使節船ミュージアム「サン・ファン館」の復元船サン・ファン・バウティスタ号の解体工事が10日、始まった。来年3月末までに完了し、大きさが4分の1の繊維強化プラスチック(FRP)製の後継船を造るなどして2024年度のリニューアルオープンを目指す。

 工事は、見学用にドックから船まで架けられていた連絡橋の撤去から始まった。県の説明によると、12月中旬までに4本あるマストなどを撤去する。深さ8メートルあるドック内の水を排出した後、年明け以降に船体の解体工事に着手する。

 羅針盤などの部品やマスト、船尾外観部分などは状態を判断した上で保存し、館内での展示などを検討する。年度内は休館せず、解体の様子は隣接する公園から見ることができる。

 解体後、22年度から2年ほどかけて後継船を造る。併せて展望棟やドック棟を改修し、工事状況によって休館を検討する。県環境生活部の担当者は「慶長遣欧船が果たした役割と意義を後世に伝えていけるよう展示を吟味し、再構築したい」と述べた。

 復元船を巡っては石巻市の市民団体などが原寸大での展示継続を要望し、解体費用の支出差し止めを求める訴訟を起こしている。10日に解体作業が始まると、反対する市民らが「もったいない」と声を上げた。解体について村井嘉浩知事は1日の記者会見で「県議会で議決を得ている」と説明している。

 復元船は1993年に建造されたが、木造であることに加え、海水に浮かべる停泊状態での展示だったこともあり、腐食などの老朽化が進んでいた。県は補修や維持にかかる費用や木造船再建の技術的課題などを総合的に考慮し、2017年に保存断念を決めた。

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