復興住宅の新たな在り方 空き家活用しグループホーム開所 石巻
東日本大震災の被災者向けに整備され、空き家になった一戸建て災害公営住宅を活用した障害者グループホームが15日、石巻市十八成浜地区に開所した。半島沿岸部で増える空き住宅を利活用し、地域での暮らしを望む利用者のニーズに応える。災害公営住宅を入居型福祉施設に使うのは県内で初めて。
開所した「グループホーム山ぼうし」は、同市の社会福祉法人石巻祥心会の共同生活援助事業所「くじらのしっぽ」(同市鮎川浜)が運営する。連続する4戸を市から借り受け、知的障害のある利用者3人が1戸ずつに単身で入居。1戸は共有スペースにする。
半島沿岸部の災害公営住宅では、入居者が亡くなったり家族との同居を選んだりして退去が相次ぎ、空き家の活用が課題になっている。
2016年に完成した十八成浜地区は一時満室だったが、24戸のうち8戸が空き家になり、市が9月、福祉施設を対象に活用する団体を公募した。
開所式が現地であり、斎藤正美市長は「復興住宅の新たな在り方を発信したい。住民との交流を深め、地域に根付いた施設になることを願う」と語った。
ホームにはくじらのしっぽの職員らが毎日訪れ、食事や掃除をサポートし、利用者の相談に乗る。団地の住民の見回りなどもする。
くじらのしっぽの阿部かよ子管理者(57)は「生まれ育った地域での生活を望む利用者は多く、空き住宅を借りられるのは助かる。あいさつなどから住民との交流を始め、絆を強めていきたい」と話した。