震災前の大川地区、模型で再現 伝承館で展示会 記憶を後世に
石巻市の東日本大震災遺構「大川小」の展示施設「大川震災伝承館」で19日、「大川地区『ふるさとの記憶』模型展」が始まった。震災の津波で甚大な被害を受けた大川地区の長面・尾崎集落を再現した大型模型を展示し、かつての街並みや記憶を後世に伝える。
模型は被災集落を500分の1の大きさで復元した。面積は約24平方メートル。アクリル片の「記憶の旗」が約1400本並び、住民の懐かしい思い出や地域の歴史、震災当時の出来事などを記す。家屋などは当時の屋根の色や建物の形を忠実に再現した。
地域住民らがつくる実行委が主催。模型は、一般社団法人「長面浦海人(うみびと)」や神戸大などと連携し、塗装や住民への聞き取りといったワークショップを通して2016年に制作した。同法人の中島みゆき理事(55)は「模型を見て、美しい景色や街並みが失われたことを自分事として捉えてほしい」と話した。
展示初日には、県内の中学校や県外からの見学者が訪れた。静岡県富士宮市の建設業小林克男さん(65)は「災害の悲惨さだけでなく、日常の大切さを静かに認識させられた」と語った。
展示は26日までで、観覧無料。午前9時~午後5時(最終日は午後4時まで)。水曜休館。連絡先は長面浦はまなすカフェ090(7330)3311。