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県品評会 復旧農地栽培米に大臣賞 石巻・北上町の農事組合法人、努力実る

賞状を受け取ったみのりの(左から)岡栄裕さん、千葉さん、山下徹朗さん
受賞したササニシキの玄米(県東部地方振興事務所提供)

 2021年度県農林産物品評会(県など主催)で、石巻市北上町女川の農事組合法人「みのり」が出展した「ササニシキ」のうるち玄米が、最高賞の農林水産大臣賞を受賞した。栽培した水田は東日本大震災の津波で浸水。除塩と土作りに取り組んだ成果が実った。被災水田で育てたコメが同賞を受賞するのは初めて。同時出展した「だて正夢」は、3席の県農協中央会長賞を受賞し、二重の喜びとなった。

 8日に県石巻合同庁舎であった授与式には代表理事の千葉昭悦さん(72)らが出席し、賞状が伝達された。県東部地方振興事務所の小林一裕所長は「日頃の尽力の成果。今後も高品質な作物を消費者に届けてほしい」とたたえた。

 みのりは2002年に発足したすずなり生産組合が前身で、北上、長面両地区で水稲や大豆を栽培してきた。震災の津波で一帯は冠水し、がれきの撤去や除塩、盛り土を行い農地を復旧させた。担い手として13年にみのりが発足。96ヘクタールに水稲を作付けし、大豆や野菜、オリーブ栽培も手掛ける。

 受賞したコメを栽培した北上地区の水田は除塩と堆肥を使った土作りに取り組み、収量は年々増えた。一方、長面地区は作業中に窓枠など大きながれきが見つかり、農機もさびるなど「回復にはまだ時間がかかる」と千葉さん。

 みのりは品評会に18年度から4年連続で出展。19、20年度は2席だったが、今回念願の最高賞に輝いた。来秋の新嘗祭に来年産ササニシキを献上する。千葉さんは「信じられない栄誉。これからもおいしいコメを届けたい」と誓った。

 品評会では、水稲部門の県知事賞3等(5席)に同市小船越のクリーンライス、野菜部門(葉茎菜類)の県知事賞3等(5席)に同市桃生町のこねぎ生産者、成沢透さんが選ばれた。

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