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スポーツ界に恩返し 元日本製紙石巻野球部の井上さん、治療家目指し奮闘

治療家を目指し勉強に励む井上さん=仙台市の赤門鍼灸柔整専門学校

 社会人野球の日本製紙石巻硬式野球部を昨シーズン限りで引退した井上信志さん(29)=石巻市出身=が、仙台市で治療家の道を目指し、勉強に励んでいる。整骨院や専門学校で鍼灸(しんきゅう)師やあん摩マッサージ指圧師の知識や経験を積み「将来は石巻で開業して、地元やスポーツ界に恩返しがしたい」と、第二の人生を歩んでいる。

 「力加減は大丈夫ですか」。通っている赤門鍼灸柔整専門学校で同期を相手に指圧の練習に励む。「簡単そうに見えても、患者一人一人に適した強さがあり、施術する側の癖もあると治るものも治りにくくなる。半年たってようやく分かってきた」と語る。

 平日は専門学校の他、アルバイト先の石川整骨院で受け付けと治療補助をこなす。「勉強会に出たり、先輩から技術を学んだりしている。筋肉のケアなどを行う筋徒手療法などの技術を自分のものにしたい」と、プロスポーツ選手らも訪れる場所で高い知識を吸収している。

 井上さんは仙台育英高時代は3年の時に主将を務め、夏の甲子園に出場した。その後は東北学院大に進学、2015年から日本製紙石巻に入社し、野手としてチームの都市対抗野球や日本選手権出場に貢献した。

 選手時代の経験が生きる場面もあった。夏前に肘を痛めた中学生の野球部員が来院。ボールが投げられず落ち込む姿を見て「自分はプロになれなかったが、高校から社会人まで長く野球を楽しめた。今はつらいかもしれないが、中学が全てではないし、その先にもっと楽しい野球が待っている」と、治療に前向きになれるように勇気づけた。

 治療の道には高校時代に治療を受けた頃から関心があった。昨冬、日本製紙から来季の構想外を伝えられ「自分が地元にできることを考えた」と会社には残らず、新たな道を選んだ。

 今後について「3年後の国家試験を通過し、患者に寄り添い信頼される治療家になる」と意欲を語った。

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