しょくば拝見>水産加工業 瀧口商店(石巻市渡波)
<手作りで昔ながらの味>
石巻市と女川町にまたがる万石浦のほとりにある。瀧口正代表(57)が6年前に立ち上げた。市内の水産加工会社に勤めていたが、「おふくろの味を忠実に再現したい」と一念発起。個人事業として始めた。
万石浦の穏やかな汽水域で育つカキや松島湾産ノリのつくだ煮などを昔ながらの味にこだわり、添加物も極力抑え、体に優しい食品をモットーに、一つ一つを丁寧に手作りしている。
さらに稚魚の揺りかごとされる万石浦を形作る海藻の一つ、アカモクの商品化に挑んだ。アカモクはワカメ、コンブなどの仲間で、昨今はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な機能性食品として認知度は高まっている。加工が難しいとされるが、たまりじょうゆを使うなど工夫を重ね、人気商品となった。
つくだ煮など全商品がご飯のお供として、また酒のさかなとして絶妙な甘じょっぱさと、磯の香りが食欲をそそり、お酒の味を引き立てる。
従業員は家族と親類。まさに家庭的な雰囲気の中、にぎやかで明るい海辺の食卓を再現し、届ける。作業しながら、時折、笑い声が職場に響く。真っすぐな気持ちで、おいしい食べ物を作っている-そんな健全な空気感が漂う。
瀧口代表は「大量生産は無理だが、石巻のおいしい味を届ける『チーム石巻』の一員として頑張っていきたい。評価していただくお客さんに、手作りならではの良さを味わってほしい」と話す。
■事業概要
2015年10月の創業。従業員は瀧口代表を入れて6人。キャッチフレーズは「万石浦からのお便り」。石巻市渡波中三勺1の66。0225(98)9433。