石巻・稲井こども園整備 移転、民営化 市の計画変更巡り保護者反発
石巻市稲井地区のこども園整備計画を巡り、市が民設民営で開成地区に整備する方針に変更したことに保護者が反発している。移転や民営化への不安が根強く、変更の事前説明がなかったことも重なり、撤回を求める声が上がっている。
市は2018年3月、老朽化する稲井幼稚園と井内保育所を統合し、同保育所を改修して公立こども園を整備する計画を策定した。しかし、19年5月に保育室などの面積が運営基準を満たさないことが分かった。
新たな候補地を検討し20年12月、同じ稲井中学区に入る開成地区の産業団地「石巻トゥモロービジネスタウン」を選定。立地条件の良さから利用者の安定確保が見込めるため、民設民営に見直した。24年4月の開設を計画する。
2回目の保護者説明会が9日夜、稲井公民館であった。参加者からは「遠くなって通えなくなる子どもが出る」「3歳児以下は途中で環境が変わる。大人でも大変なことを子どもにさせるのか」など新たな計画への批判が集中した。
市側は近隣に適地がなかったことや民設民営化による財政効果などを説明して理解を求めたが、議論は平行線をたどった。
計画変更は市議会9月定例会で市が明らかにするまで保護者に知らされていなかった。保護者の男性は「結果だけ伝えられても納得できない。少し立ち戻って議論すべきだ」と訴えた。
市福祉部の相沢和宏部長は「説明が遅れたことはおわびする。総合的に判断し、改めて市の方向性をお伝えしたい」と語り、年明けにも再び説明の場を設ける考えを示した。