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2021ニュース回顧 取材ノートから>4年ぶりに津波注意報 避難判断基準、見直し

石巻市の高台にある日和山公園から、海の方角を眺める避難者=2月13日午後11時40分ごろ、同市日和が丘2丁目

<常に災害への心構えを>

 東日本大震災から10年が経過した今年、石巻地方は宮城県沖などを震源とする震度5強以上の地震に相次いで見舞われた。3月には2016年11月以来、約4年4カ月ぶりとなる津波注意報が発表された。高台や学校へ避難する人の姿が見られ、沿岸部を中心に不安が広がった。

 2月13日には、午後11時7分ごろに福島県沖を震源とする地震が発生。石巻市で震度6弱、東松島市で震度5強、女川町で震度4を観測した。

 3月20日午後6時9分ごろの地震では、石巻地方など県内で最大震度5強を観測。約2分後に津波注意報が発表され、1時間20分後に解除された。5月1日午前10時27分ごろには、震度5弱~5強の地震があった。ともに震源は宮城県沖だった。

 3度にわたる強い揺れで各地に被害が及び、震災の記憶や教訓を思い起こさせた。石巻市の日和山では津波に備えて避難した人たちが身を寄せ、小中学校に近隣住民らが避難した。転倒したりベッドから落ちたりした人が重軽傷を負ったほか、各地の漁港岸壁で隙間や段差が生じた。

 複数回被害を受けた施設もあった。女川町の町営温泉施設「女川温泉ゆぽっぽ」は、2、5月の地震で2度建物の窓ガラスが割れて落下。浴室や休憩室の同じカ所が破損したことから、原因調査が進められている。現在は温泉施設が休業し、調査結果が分かる来年1月中旬以降に改修工事に入る見通しとなっている。

 3月の地震後、石巻、東松島両市は県の津波対策指針に合わせて避難判断基準を見直した。

 石巻市は、津波注意報の発表とともに海岸に近い区域に避難指示を出す。東松島市も、津波注意報発表時点で避難指示を出すよう職員の初動マニュアルを改定した。

 女川町は震災後に住宅の高台移転が進み津波の浸水想定区域に入っていないため、従来通り津波注意報では注意喚起し、津波警報以上で避難指示か避難勧告を出す。

 近年は全国各地で地震や土砂災害が起き、今月に入ってからも鹿児島で震度5強、山梨と和歌山で震度5弱の地震があった。震災で多くの人が嫌というほど感じたように、いつどこでどんな災害に遭うかは分からない。そのことを忘れずに、普段から心構えを持つことの大切さを改めて感じた。(及川智子)

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