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いしのまき二刀流>獅子舞団体代表、コミュニティーカフェ経営 岡裕彦さん

団体名のまむしにちなみ蛇をイメージした獅子頭とカウンターに立つ岡さん

 新型コロナウイルス禍に見舞われた昨年、投打双方で活躍した米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(奥州市出身、花巻東高出)の存在は明るいニュースとなって世間を駆け巡った。石巻地方で活躍するさまざまな分野の「二刀流」の人、取り組みを紹介する。(及川智子)

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<伝統守り、憩いの場も提供>

 女川町に古くから伝わる獅子舞の演舞を次代へ残したい-。そんな思いで町内の獅子舞団体「女川港大漁獅子舞まむし」は結成された。代表を務める岡裕彦さん(63)は、港近くでコミュニティーカフェ「おちゃっこクラブ」を営む。

 「子どもの頃から獅子舞が大好き。正月に家々を回る時はずっと付いて歩いていた」と振り返る。大人たちの休憩中は見よう見まねで太鼓をたたき、自分も加わりたいとアピールした。

 女川では地区ごとに獅子舞の伝統が残るものの、時代とともに披露されなくなった舞もある。メンバーはかつての演舞や口上を復活させようと、長老たちに聞き取りして再現。町内各地の演目を取り入れ、イベントや祭りで披露する。

 岡さんは「100年、200年と続く郷土芸能をパフォーマンスとして楽しく見てほしい」と話す。これまで町内にとどまらず、国内外のステージに立った。

 活動には子どもたちも参加する。岡さんは自分が大人たちに憧れたように、自然と獅子舞の魅力を感じてもらいたいと考える。

 伝統をつなぐ活動に力を注ぐ一方、経営するおちゃっこクラブは地域住民の憩いの場となっている。

 以前は喫茶店とライブハウスを兼ねた「ダイヤモンドヘッド」を営んでいたが、東日本大震災の津波で自宅兼店舗が流失し、町地域医療センター(旧町立病院)敷地内でおちゃっこクラブを始めた。「震災でみんなバラバラになった。病院帰りにお茶飲みして話すことで、心も健康になってもらいたかった」という。

 約6年の営業を経て、2020年2月に以前の場所から程近い海辺で店を再開。住民が集い、名物のナポリタンやソフトクリームを味わいながら世間話に花を咲かせる。

 ダイヤモンドヘッドの開店とまむしの立ち上げはほぼ同時期の08年春。津波で獅子頭も店も流されたが、その後復活をとげた。「まむしは生命力が強く薬にもなる。自分たちもタフで人の役に立ちたい」と岡さん。「女川の人にとって獅子舞は魂。子どもも高齢者も巻き込み、古里の素晴らしい伝統を伝えていきたい」と決意を語る。

 おか・ひろひこ 1958年10月、女川町生まれ。宮城水産高卒。仙台大中退。名取市のレジャー施設運営会社に勤務後、町内の実家を改装してダイヤモンドヘッドを開店。再建した店舗は2020年オープンした。町内の熊野神社で氏子総代の副総代長を務める。

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