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今年も選挙イヤー 石巻地方の再生と展望を聞く 安住淳氏、森下千里氏

「今年はゆっくり地元を歩いて市民と対話したい」と語る安住氏
2022年の抱負を語る森下氏

 石巻地方は2022年も選挙イヤーとなる。任期満了に伴う石巻市議選(定数30)が5月15日告示、22日投開票の日程で行われるほか、夏の参院選宮城選挙区(改選数1)も控える。

 21年10月の衆院選宮城5区で9選を果たした立憲民主党の安住淳前国対委員長(59)と、安住氏に敗れたものの惜敗率75.78%で善戦し、引き続き自民党宮城5区支部長を務める森下千里氏(40)に22年の展望や政治への思い、石巻地方の再生などについてインタビューした。

立憲民主党 前国対委員長・安住淳氏

<医療・介護の充実に注力>

-2021年を振り返ってみて、どんな年でした。

 「新型コロナウイルスに明け暮れた1年だった。経済を回すためにもコロナを抑え込むことが今年も大きな課題となる。新たな変異株の水際対策を含めて国内に感染が広がらないようにしていくことが政治の使命だと思う」

-先の衆院選で9選を果たした。

 「厳しい環境の中で信任され感謝に堪えないし、責任の重さを痛感する。野党だと不利だと言われないよう、地域のために貢献したい」

 「石巻地方はコロナ下の不景気、震災復興の中での人口減少、他の地域以上に早まる高齢化の三重苦にある。課題を解決し、安定した経済の下、安心して子どもを産み育て、年を取れる生活環境をつくっていく」

-22年の展望、抱負は。

 「昨年12月1日に衆院小選挙区の定数を10増10減し、宮城は1減とすることが正式に決定した。4、5、6区が併合され、二つの選挙区に再編される流れは石巻にとっては大きなこと。この先の選挙からは石巻で勝っても議席を得られる選挙ではなくなる。相当厳しい試練が待ち構えている」

 「最大被災地で県内第2の都市には与党であっても野党であっても国会議員が必要だ。石巻の国政の議席を守っていかなければならない。どういう区割りになるのか、石巻地方の政治状況を占う意味で関心を持っている。5月の石巻市議選の結果も重要。強い関心を持って臨みたい」

-昨年12月1日で国対委員長を退任した。

 「コロナ下で地元に帰ることがなかなかできなかった。今年は腰を落ち着けてゆっくり地元を歩いて、市民と対話したい。地道に暮らす庶民の声を国政に届ける政治の原点に返る1年にしたい」

-疲弊する石巻地方の再生や持続可能なまちづくりに向け、どう力を尽くすのか。

 「21世紀は医療・介護のまちが地方再生のキーワードとなる。特に石巻市には、石巻赤十字病院、石巻市立病院、それに準ずる医療機関があり、医療都市として再生できる素地がある」

 「三陸沿岸道の延伸に伴い、県北の医療拠点としての重要性は高まっている。医療機能のシステムを充実させることが地方都市として生き残る決め手となる。介護人材の確保対策を含め、石巻地方の医療介護の充実に力を注ぐ」
(聞き手は浜尾幸朗)

 あずみ・じゅん 石巻市出身。早稲田大社会科学部卒。NHK記者を経て1996年初当選。21年9選を果たす。民主党政権で防衛副大臣、財務相。立憲民主党国対委員長を務め、同12月から衆院懲罰委員長。

自民党 宮城5区支部長・森下千里氏

<地元のブランド化促進>

-2021年を振り返って。

 「石巻市に来たばかりのころは『自分で選挙を戦えるのだろうか』と不安に感じることがあった。それでも出会いに恵まれ、応援してもらい、自信を深かめながら過ごせた」

 「出くわすことや見るものは初めてのものが多く、仕事を始めたころのように懐かしく新鮮な気持ちもあった。芸能生活も含め、これまでの人生を濃縮したような1年で、知り合った方から刺激を受け、学ぶこともあり、感謝している」

-衆院選では安住氏に敗れたが、6万1000を超える票を獲得した。

 「6月に始めた『つじ立ち』の成果で声を掛けてくれる市民も増えるなど縁の広がりを実感していたが、私自身を深く知ってもらうまでには至らなかった」

 「それでも、期待を込めて投票していただき、選挙後のつじ立ちにも『残ってもらえてうれしい』と喜んでくれた。住民の方々への思いに応えていかなければいけない」

-石巻地方を含め宮城5区の課題や必要になることは。

 「女性の活躍が地域社会の活力につながると訴えてきた。母親になってからも旦那さんを支え、働けるように子どもを預けられる所、遊べる所を増やさなければいけない。子育てと仕事の両輪をサポートできるのが理想だ」

 「生活して感じることは石巻地方にはカキやノリといった魅力的な食材やブルーインパルスなどたくさんの観光資源がある。街づくりも含めて、各地域の特色を全面に出し、地元のブランド化を進めて全国に知ってもらえるようになればさらにいい」

-22年はどのような年にしたいか。

 「昨年は自分のことを覚えてもらったり、知ってもらうといったことに時間を使ってきたので、後援会など、より多くの人に支援をしてもらえる体制をつくりたいと考えている。お世話になった方々にお礼を済ませ、まだ会えていない方の所にも行きたい。やりたいことがたくさんある」

 「昨年11月に、自民党5区支部長に再任してもらった。選挙の結果よりも歩んできた中身を評価してもらったのでありがたい。代名詞と言ってもらえるようになった『つじ立ち』も、これまで以上に行い、種をまき、根を張った昨年から成長できたと言える年にしたい」
(聞き手は大谷佳祐)

 もりした・ちさと 名古屋市出身。名古屋学院大中退。2002年に俳優デビューし、タレント活動を開始。16年にジム経営とゴルフ用品製造販売の会社を設立。19年12月に芸能界を引退し、21年4月から自民党宮城5区支部長。

 

◇参院選

 夏の参院選宮城選挙区は、自民党からの出馬を模索する無所属現職の桜井充氏(65)と、自民党県議の石川光次郎氏(54)が改選1人区の公認を争う。党本部は4月に世論調査を行い、支持率の高い方を公認する方針。立憲民主党は新人を擁立し野党の議席死守を目指す。

 自民党県連は昨年12月19日、仙台市で開いた支部長・幹事長と県選出国会議員らの合同会議で石川氏を党本部に公認申請する方針を決めた。

 16年の参院選宮城選挙区は、野党統一候補で旧民進党公認の桜井氏が4選を果たし、19年は立民の石垣のり子氏が初当選した。自民候補は直近で2連敗した。

 桜井氏は19年に旧国民民主党を離党し、20年5月に参院の自民会派に入った。旧民主党政権下の東日本大震災時、被災地に寄り添い活動した。石川氏は県議会議長や自民党県連幹事長などの要職を務め、党県連で擁立論が高まっていた。

 自民公認候補が決定していないことから、戦いの構図は固まっていない。

 立民県連代表の安住淳衆院議員(宮城5区)は「新人を立てて野党の旗を一本化して戦う。元々野党の議席。変節は許されない。野党共闘を再構築し参院選に臨みたい。春ごろには候補者を決定したい」と話す。

◇石巻市議選

 石巻市議選(欠員1)には、現職29人のうち、28人が立候補を予定し、1人が今期限りで引退する。新人は引退する議員の後継を含め10人ほどの出馬が見込まれる。元議員の立候補も取り沙汰されている。現時点では40人前後の争いとみられる。

 前回は定数30に対し、現職25人、元議員2人、新人11人の計38人が立候補した。党派別では公明3人、共産2人、社民1人、無所属32人。

 市議会は70歳を超えるベテラン議員が多く、今回の市議選で議会の世代交代が進むのかが焦点となる。15日には告示まで4カ月となり、令和初の市議選に向けた動きが活発化しそうだ。

 東日本大震災から11年。復興やウィズコロナ、少子高齢化など市政課題は多岐にわたり、立候補予定者の論戦が期待される。

 昨年12月1日現在の有権者は11万9985人(男5万7996人、女6万1989人)。

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