とうほく潮風ドライブ・北へ(上) 石巻河南-大船渡碁石海岸
仙台市と八戸市を結ぶ三陸沿岸道が昨年末に全線開通し、東日本大震災で被災した東北の太平洋沿岸が高速道路でつながった。大動脈の完成でぐっと近づいた沿線の街々。その魅力や復興状況を確かめようと記者2人が石巻から北と南に分かれ、車を走らせた。(保科暁史、漢人薫平)
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石巻市の石巻河南インターチェンジ(IC)から三陸沿岸道を北へ1時間。沿線随一の雄大な景観が車窓に広がった。昨年3月に開通した気仙沼湾横断橋を渡る。左手には気仙沼市の市街地や魚市場、右手には気仙沼大島が見えた。
浦島大島ICで一般道に下り、防潮堤の上に整備された展望スポットを訪れた。全長1344メートルの橋は、2本の主塔から斜めに張られたケーブルが支える。骨組みの少ない構造を見て、橋上からの見晴らしの良さに納得した。奥には気仙沼大島大橋も見えた。
気仙沼鹿折ICから三陸道に戻った。大島ICと鹿折ICはいずれも一方向にしか乗り降りできない「ハーフインター」。三陸道は全体の4割がこの方式で、何度か迷った。
大船渡碁石海岸ICで下り、震災後に整備された商業施設「キャッセン大船渡」を目指した。外観を統一した建物に飲食店や雑貨店、書店、ライブハウスなど約30店が並び、散策する楽しさがある。
「三陸おさかなファクトリー」は地元の特産品を扱う。大船渡港が本州トップの水揚げ量を誇るサンマの商品が人気と聞き、サンマをミートソース風にした缶詰を買ってみた。
新型コロナウイルス感染拡大で、中心だった盛岡市や仙台市からの観光客は減ったままだという。店員の佐々木冴子さん(27)は「便利になった三陸道を使って、沿岸部のお客さんにもっと遊びに来てほしい」と期待した。
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