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いしのまき二刀流>運送会社管理職、ドラマー 三浦昌弘さん

バンドの醍醐味は「ライブでお客さんも乗ってくれる時」と話す三浦さん

<達成感 子どもたちと共有>

 石巻市流留の運送会社「トランスポート宮城」で運行管理部長を務める。大阪や京都まで、主に石巻の水産加工品などを運ぶ大型車両を管理する。運転手が決められた休憩を取っているか、走行距離は適切か。延着や誤配を防ぎ、会社の信頼を高める。シビアで責任ある仕事だ。

 会社を一歩出るとミュージシャンだ。ドラマーとして自身のバンドを引っ張り、各地でセッションにも参加する。週末は、知人のスタジオで子どもたちにドラムを教える。

 ドラムを始めたのは高1の時。スクールに通って腕を磨き、バンドを組んだ。25歳で仙台のライブハウスの専属ミュージシャンになった。「時代はバブル。仕事はたくさんあった。1日60曲、年間にすると1万8000曲たたいた」

 無理がたたり、けんしょう炎を繰り返す。一線での活動を断念して石巻に戻り、会社員になった。親交があったミュージシャンの東北ツアーに参加するなどして音楽活動は続けた。

 東日本大震災が起きたのは47歳の時。「心の復興に少しでも役立ちたい」と会社勤めをしながら一般社団法人「ミュージック・プロジェクトいしのまき(MPI)」を有志と設立、代表理事を務めた。

 培ってきた人脈で一流ミュージシャンを呼び、コンサートを開き、自身もイベントで演奏した。「喜んでもらえた。音楽の力を改めて感じた」と振り返る。

 昨年夏には新バンド「ドリンカーズ」を結成した。メンバーの職場つながりで公民館でカホン教室の講師も務めた。

 「会社勤めがあるからこそ好きな音楽ができる。音楽は人をつなぐ。生活の一部としてドラムを叩き、人との関わりを楽しみたい」

 今年はバンドのライブを増やす。コロナ禍で中断していた仲間とのイベントも再開させる予定だ。

 ドラムを教えてきた子どもたちは延べ30人を超えた。「生徒が一曲を通して叩けた時の達成感を共有できるのが喜び」と話す。「次はどんな子がくるかな」と穏やかな笑顔を見せた。(山形泰史)

 みうら・まさひろ 1963年3月、女川町生まれ。「仙台ケントス」などのレギュラードラマーとして活躍。山崎まさよし、渡辺真知子、村上ポンタ秀一らとも共演した。ドラム教室の連絡先は090(2975)8558。石巻市清水町1丁目。