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いしのまき二刀流>生花店常務、プランナー 岡泰史さん

はなき本店で店頭の花々をチェックする岡さん

<花も生かし石巻の今 発信>

 「花は身近であるべき」が持論。「人の暮らしに寄り添った花を提案し、販売していきたい」

 岡泰史さん(38)は、石巻市中里に本店を構える生花店「フラワーガーデンはなき」の常務。本店に加え、店舗や事務所を持つ仙台、富谷市を飛び回る。

 東京で花屋の修業中に東日本大震災が起きる。27歳の時だ。6日後にようやく帰り着いた古里の惨状はテレビの映像とは全く違う衝撃があった。東京で復興プロジェクトに携わりながら考えた。「花屋として自分は何ができる?」-。

 その年の石巻川開き祭り。婚礼の花も扱った東京での経験を生かし、震災で結婚式を断念したカップルに式をプレゼントする「川開きウエディング」を企画し、実現させた。この経験が2013年から18年まで毎年開催された音楽をメインにしたイベント「PARK ROCK ISHINOMAKI」を生む。代表を務め、引っ張ってきた。

 19、20年は開催できなかったが、震災10年の昨年11月、「石巻クリエイティブ・マルシェ」の名称で再開させた。アートや服飾、飲食、音楽などのアーティスト、事業者が集まった。

 自身もフラワーショップを出店。出店者同士のコラボ商品をつないだ。自社の花も組み合わせた。なりわい、暮らしの復興が進む石巻の今を発信した。

 「これまでは自分の仕事の要素は入れなかった。長く続けるには仕事を生かすことも必要。どんな仕事をしているのかも見せたい」

 生花店として気に掛かるのは若い人たちの「花離れ」だという。「専門店としてのデザイン、質の高さも示し、価値を高めていきたい」と話す。イベントへの出店にはそんな思いも重ねる。「フローリストとして、スキルを上げ、選ばれる存在になりたい」。モチベーションを高める。

 この10年、多くの人とつながってきた。「いろいろな人に助けられた。成長させてくれるのは人です。これからも『あったら楽しいな』をつくっていきたい。声を上げる人がいれば全力でサポートする」と決意を語った。(山形泰史)

 おか・やすふみ 1983年10月、石巻市生まれ。東北学院大経営学部卒。東京の生花店での修業を経て、2012年7月に石巻に戻り、フラワーガーデンはなき常務。17年、石巻青年会議所理事、街づくり委員長。20年から副理事長。石巻市真野。

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