閉じる

成人式開催 コロナ下、新たな一歩 石巻地方3市町

 10日の「成人の日」を前に石巻市6地区と東松島市、女川町で9日、成人式が開かれた。座席の間隔を空け、時間を短縮するなど新型コロナウイルス対策を講じて開催。振り袖やスーツとともにマスクを着けた新成人たちは、仲間との再会を喜び合い、支えてくれた家族に感謝して新たな一歩を踏みだした。

◆石巻市

仲間との再会を喜び、記念撮影をする新成人=石巻市複合文化施設

 石巻市石巻地区の成人式は、市複合文化施設(マルホンまきあーとテラス)が初めて会場になった。昨年と同様、新型コロナウイルスの感染予防のため、出席者を出身中学校に分けて2回実施。計756人が出席した。

 東日本大震災の犠牲者を悼んで全員で黙とうをささげた後、斎藤正美市長は「人生の節目を迎え、改めて古里の良さ、家族の大切さなどを知ったと思う。新しい石巻を創るため、多様な個性を発揮し、柔軟な考え方と高い行動力を持って活躍することを期待する」とエールを送った。

 誓いの言葉では、石巻市職員の星奈波さん(20)が震災直後の生活について「自分よりも他人を優先してくれる人が多く、人の優しさを身にしみて感じた」と振り返り「次は守られる側から守る側となり、住み続けたいと思える街づくりに貢献したい」と述べた。

 式典はコロナ対策のため30分程度に短縮。アトラクションも行わず、恩師からのお祝いメッセージは動画投稿サイトで見られるようにした。

◆女川町

誓いの言葉を述べる(手前左から)武山さん、木村さん=女川町生涯学習センター

 女川町の成人式は町生涯学習センター大ホールで行われた。新成人でつくる実行委員会が掲げたテーマは「彩華~色とりどりの華を咲かせよう」。対象者90人のうち45人(男23人、女22人)が出席した。

 須田善明町長は式辞で「変化のスピードが上がっている。今やれることを精いっぱいやる。やらずに後悔するよりやって後悔した方がいい。経験は力になる」と激励した。

 会社員武山智成さん(20)と大学2年木村綾香さん(20)が、東日本大震災で多くの支援を受けたことを振り返り「感謝の気持ちを忘れずに、支えられる人から支える人へと成長していけるよう努力していきます」と誓いの言葉を述べた。実行委員長を務めた大学2年小林杏奈さん(20)は「コロナ禍の中でも式ができた。感謝したい。コロナ対策を含め自覚と責任ある行動を取っていきたい」と話した。

◆東松島市

記念撮影だけはマスクを外して臨んだ=東松島市奥松島運動公園体育館

 東松島市の成人式は、市奥松島運動公園体育館であった。計338人が出席し、社会への貢献を誓った。

 渥美巌市長は式辞で「家族をはじめ皆さんを支えた多くの方々への感謝を忘れず、人生を力強く歩んでほしい」と述べた。

 新成人を代表し、2人が二十歳の決意を発表した。女川町職員川田大夢(ひろむ)さん(20)は「成人の自覚を持ち、支えていただいた皆さんに恩返しできるよう努力する」、会社員久我みなみさん(20)は「今後は誰かの支えになれるよう精進し、地域のために率先して行動する大人を目指す」と誓った。

 実行委員会によるアトラクションでは、恩師のビデオレターが上映され、懐かしさに歓声が上がった。

<亡き友の似顔絵抱いて出席>

 新成人は小学3年生で東日本大震災を経験した。東松島市では、今年成人式を迎えるはずだった4人が津波の犠牲になった。

 拓殖大2年大槻陽平さん(20)=鳴瀬未来中出身=は、野蒜小の同級生だった作田樹(さくたたつき)さん=当時(9)=の晴れ着姿の絵を抱いて出席した。大槻さんと作田さんは幼稚園時代から仲が良く、下校後も一緒に遊ぶ仲だった。

 大槻さんは絵が得意な姉真衣さん(26)に頼んで似顔絵を描いてもらった。子ども時代の写真に加えて、作田さんの兄(26)の姿も参考に、20歳になった姿をイメージしてもらった。

 額の中で、羽織を着て笑顔でピースサインをする作田さん。大槻さんは「本当にこんな感じだったと思う。改めて形になるとさみしさがこみ上げる。一緒に出席したかった」と語る。

 式の最中、何度も絵の作田さんにほほ笑みかけていた大槻さん。「絵は(作田さんの)お母さんに届けたい」と話した。

作田さんの絵を抱く大槻さん。絵の中で20歳を迎えた作田さんも一緒に集合写真に納まった

関連タグ

最新写真特集

石巻かほく メディア猫の目

「石巻かほく」は三陸河北新報社が石巻地方で発行する日刊紙です。古くから私たちの暮らしに寄り添ってきた猫のように愛らしく、高すぎず低すぎない目線を大切にします。

三陸河北新報社の会社概要や広告、休刊日などについては、こちらのサイトをご覧ください

ライブカメラ