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雄勝小中に新たなシンボル 学校からの風景画、芸術家が寄贈

寄贈された絵の下に集まる児童生徒らと安井さん(奥左)

 石巻市雄勝町をモデルにした作品を制作する芸術家安井鷹之介さん(28)=東京都荒川区=が、市雄勝小中学校から見える風景を描いた絵画を同校に寄贈した。作品は校内に飾られ、地域や学校の新しいシンボルとして子どもたちに親しまれている。

 題名は「Islander(アイランダー)」で縦約190センチ、横約270センチの大作。校庭につながる小さな浜へ降りる道から見えた風景を切り取った。石こうをまとわせた布を張ったカンバスに描く手法で、刹那的な自然をダイナミックに表現した。

 安井さんは昨年10月に約1カ月間、雄勝町に滞在しながら制作に取り組む個展を開いた。住民らと親睦を深める中、横江良伸校長(60)に作品を紹介し、寄贈が決まった。横江校長は「一流の作品を通して子どもたちが夢を膨らませ、自由な感性を磨いてくれたらうれしい」と話す。

 絵は昨年12月10日、校舎3階の階段付近に飾られた。同22日に学校で「感謝の会」が開かれ、児童生徒約30人が参加。小学1年の阿部樹君は「絵が本当に動きそう。飛び出して見えるのでびっくりした」と安井さんに感想を伝えた。

 安井さんと学校は今春以降、学校の校木「奇跡の桜」をテーマにした壁画を児童生徒と共同制作する構想を立てている。

 安井さんは「雄勝で過ごす日々や作品を通して、雄勝が芸術家としての自分の『ゆかり』の場所となろうとしているのを感じ、わくわくした。遠い先の未来でもそう語られるよう、これからも制作を頑張りたい」と語った。

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