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コロナ下でも夢実現 30代女性2人、石巻で開業 居酒屋すがん家、串焼きのんちゃん

かっぽう着姿で客をもてなす菅原さん。店内には昭和歌謡が流れ、どこか懐かしい雰囲気が漂う
カウンターで接客しながら焼き鳥を焼く高橋さん。この日は前職の仲間たちが開店祝いに訪れた

 新型コロナウイルスの感染拡大で飲食業界が苦戦を強いられる中、逆境に負けず昨年12月に30代の女性2人が石巻市立町2丁目に居酒屋をオープンした。共に一度は開業を延期したが、石巻産業創造(石巻市開成)が開講する「創業開成塾」で経営の基礎を学び、同社と連携して創業支援を行う日本政策金融公庫石巻支店に融資を受けるなどして夢を実現させた。客をもてなす2人の表情には充実感が漂う。

 「コロナ禍が落ち着くのを待っていたら一生始められない気がした。思い切ってよかった」。居酒屋「すがん家(ち)」を開業した菅原美香さん(33)は充実した表情で語る。

 カウンターと小上がり計10席を、1人で切り盛りする。かつおぶしと昆布のだしでじっくり煮込んだおでんが看板メニュー。ニンニクとニラを使わない「梅としょうがの手作りギョーザ」は、近くのスナックで働く女性たちにも好評だ。

 同市河南地区出身。仙台市内の調理専門学校を卒業し、松島町のホテルで和食の腕を磨いた。石巻市内の飲食店で経験を積み20年に独立を予定していたが、新型コロナの感染拡大で延期せざるを得なかった。

 テレビドラマや映画にもなった漫画「深夜食堂」のような常連客が集う店が目標だ。「毎日のように顔を出したくなる店にしたい」と目を輝かせる。

 「串焼きのんちゃん」をオープンしたのは高橋和さん(36)。L字型のカウンター8席で、調理しながら客と会話をするのが楽しみだ。高橋さんは「お客さんとの距離が近く、全員とお話できる。毎日楽しい」とほほ笑む。

 メインの串焼きには国産鶏を使用。一本一本丁寧に串打ちし、備長炭で香ばしく焼き上げる。手間を惜しまず仕上げるもつ煮込みやスパイスカレーも人気だ。古里である岩手県の日本酒やワインもそろえる。

 教員を目指していた大学時代、居酒屋でのアルバイトをきっかけに将来は飲食店を構えようと方向転換した。今夏まで大手居酒屋チェーンで14年働き、うち7年勤めた石巻を開業地に選んだ。「楽しく過ごしてもらえるアットホームな店にしたい」と意気込む。

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