原発事故に備え 冊子で地域ごとの避難経路説明 県、30キロ圏へ来月配布
東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故を想定した広域避難計画を周知するため、県は2月上旬、避難方法を説明したリーフレットを原発30キロ圏に配布する。居住地によって避難先や経路が細かく分かれるため、地域ごとに67種類を作成した。国と2月上中旬に計画する原子力総合防災訓練でも活用してもらう考え。
対象は30キロ圏の女川町、石巻市全域と東松島、登米、涌谷、美里、南三陸の5市町の一部で、計約8万3000戸に配る。行政区などの単位で避難先自治体やルートが異なるため、女川町は6種類、石巻市は48種類、東松島市は8種類を作った。
リーフレットはA3判二つ折りで、避難先自治体までの基本、予備経路を地図で説明。避難者の行き先を調整する「避難受付ステーション」と避難所の位置も記した。
5キロ圏の予防的防護措置区域(PAZ)と牡鹿半島南部と離島の準PAZ向けには避難の流れを掲載。屋内退避を基本とする5~30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)向けには自宅で放射性物質から身を守る注意点や、避難指示が出た場合に車両や衣服を検査する「避難退域時検査場所」の位置も示した。
全地域共通で避難時の持ち出し品リストや災害情報の発信元のQRコードも載せた。県原子力安全対策課の担当者は「万が一の場合は避難先に向かう時に持ち出して使える。分かりやすい場所に置き、たまに目を通してほしい」と語った。
女川原発・総合防災訓練、実施はコロナ次第
山口壮原子力防災担当相は28日の閣議後記者会見で、東北電力女川原発(女川町、石巻市)の重大事故を想定して2月上中旬に実施を予定する原子力総合防災訓練について、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ県と協議して開催の可否を決める考えを示した。
山口氏は「感染者が大変な数字になり、変異も含めていろんな要素がある。感染対策は万全でなければならない。絶対やるとも言い切れず、県や現地とよく相談しないといけない」と述べた。
東北電は女川2号機の2022年度以降の再稼働を目指している。新型コロナが再稼働時も収束していない可能性はあり、山口氏は「コロナ禍でも事故は起きるとの危機感はある。防災計画が脆弱(ぜいじゃく)だと捉えられたくない」とも強調した。
国は過酷事故を想定した総合防災訓練を全国の原発立地地域などで毎年1回実施しており、女川原発が開催場所となるのは初めて。昨年2月に予定していた訓練は新型コロナの影響で当面延期となり、その後に20年度中の実施を断念した。