シェアハウス事業 新展開 空き家を改築、賃貸 石巻地方
空き家を活用した街づくりなどに取り組む「巻組」(石巻市中央2丁目)が、中古物件を改築したシェアハウスの新事業を石巻地方で始めた。新型コロナウイルス禍で多様化する生活様式に対応し、旅先で働く「ワーケーション」や多地域居住を視野に入れた取り組み。1泊から年単位の入居ができるサービスを展開する。
シェアハウスの名前は「Roopt(ループト)」。石巻市日和が丘1丁目と東松島市新東名1丁目の計2戸を1日にオープンした。商店街や駅に近い住宅街に立地する。共に築35年以上の空き家を使い、共用キッチンや風呂、トイレなどをリノベーションした。個室や短期滞在者向けの民泊用ルームを備える。
居室では、床の間やふすまといった元の造りを生かし、備え付けの椅子やテーブルは家具の定額制サービスを利用する。
賃料は月3万~5万円。これまでの賃貸物件より入退居や契約のハードルを下げようと、初期費用や違約金を不要にした。入居審査を簡略化し、即日入居を可能にした。
渡辺享子代表取締役(34)は「地方では空き家が増える一方、人口は減るという課題がある。コロナ禍で注目される多拠点居住や短期滞在のニーズに応え、空き家の活用と関係人口の増加を狙う」と説明する。
巻組は2021年度のグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞。低コストのリノベーションとシェアハウス運営により、不動産価値の低い空き家をよみがえらせる取り組みなどが評価された。
今後はループトをシェアハウス事業の中心に据え、3月には塩釜市でも入居を始めるほか、仙台市や東北で200戸への拡大を目指す。