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「ものうウール」で地域に元気を 地元飼育羊の原毛を手紡ぎ、製品化 住民サークル

毛糸を紡ぐサークルのメンバー。「均一な太さに仕上げるのは難しく練習を重ねた」と話す
たっぷりと毛を蓄えた羊。13匹を今野さんの夫の公(いさお)さんが世話する
「ものうウール」で作った帽子や手袋、オブジェなどの製品

 石巻市桃生町の住民サークルが、地元で飼育する羊の原毛から手作業で毛糸を紡ぎ「ものうウール」として製品化し、好評を得ている。メンバーは40代から70代の女性13人。毛糸をはじめ、帽子や手袋などの好調な売れ行きに手応えを感じながら「地元に元気を」の思いをより強めている。

 取り組みが始まったのは2012年。羊毛染織作家の吉田麻子さん(43)=新潟市=が東日本大震災の被災地支援として石巻市内で開いた講習会にサークル代表の今野美江子さん(72)=石巻市桃生町=が参加したのがきっかけだ。

 東北で飼育する羊の毛から毛糸を作るプロジェクトを考えていた吉田さんが、今野さん方で羊を飼っていることを知り、活用を持ち掛けた。賛同した今野さんらが「ものうウールクラブ」として吉田さんの指導を受けながら活動を始めた。

 脂が多い原毛からごみを取りながら丹念に洗い、紡ぎ車を使って繊維をより合わせて毛糸にする。地元のワラビやクチナシ、ウメノキゴケなどから染料を作り、染める-と、全てが手作業。四季折々の色彩が楽しめる体にやさしい毛糸になる。

 活動が始まり10年。徐々に活動の幅を広げている。19年には吉田さんの紹介で東京都内のイベントに初めてレッグウオーマーを出品。昨年からは地元のイベントや公共施設でも販売を始めた。手洗いで仕立てる毛糸は適度に脂が残り、汚れにくく風も通しにくいのが特長。購入したり、手に取ったりした人からは「暖かい」「編みやすい」と好評だという。

 ものうウールは10グラム200円と一般的な毛糸に比べて値が張るが「買ってくれる人がいると分かり励みになった。『価値ある糸』を作ろうと皆張り切っている」と今野さん。吉田さんは「自分たちでアイデアを出して作ることができる。活動が続いたのは皆さんの頑張り」と評価する。

 活動には、空き家利用の一環として築70年の古民家を使っている。3月12日には、毛糸を紡ぐ様子の見学や製品販売も開始する。「ゆくゆくは体験講座も開きたい」と、メンバーは夢を膨らます。

 活動日は毎月第2土曜日で、場所は同市桃生町太田谷千畑39の1。連絡先は今野さん090(8612)2882。活動日の午前10時~午後4時のみ。